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太陽の娘 2
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“歌が聞こえる”
男性の耳触りの良い声が歌っている。
一人じゃない?
ああ…素敵な声………………
歌じゃないの?
誰かが話してる?
意識がゆっくりと覚醒して行く。
唐突にその時は訪れた。
少女(?)の目が突然開いたのだ。
その時の衝撃‼︎
彼らは一生忘れないだろう。
金色の睫毛に縁取られたその瞳は
『蒼』
空の蒼。
「この方は…」彼らは絶句し、ひざまずき、頭を垂れた。
「太陽の娘よ。」
『えぇっと…』僕はぼんやりする頭で考えようとしていた。
『ここは何処?』
『僕、死んだんだよね?あの高さから堕ちて助かる筈ないよね?』
自分が横たわっている周りに数人の男達がいる。見たことのないエキゾチックな人達だな…と、ぼうっとしてると突然皆が跪いて頭を垂れた。
『ええっ!なに⁈』僕は慌てて飛び起きたけどどうしてもこの状況が理解出来ない。
それだけじゃないんだ。
僕、死んだのだとしたら今このドクドク言ってる心臓はどうなってるの?
「ええと、此処はどこですか?」
とりあえず英語で尋ねてみたけどかえって来たのは訝しげな表情。
『ん~英語は無理か。』
リーダーらしい顎割れマッチョのアフリカンが僕の手を取って、
「太陽の娘よ。」と言った。いや聞き取れた。でもこれは…どこの言語だっただろうか?
その前にそもそも今自分が置かれている状況だが、どうやらあの世というわけではないらしい。
孤立した集落という可能性もゼロではないが、この人達の容貌など鑑みると、あまり認めたくないのだがこれはいわゆる“異世界トリップ”と言われるものではないだろうか?
安直な考えに飛びつきすぎかもしれないが。
僕は目線だけでこの部屋の様子や周りの人達を観察した。
目覚められてからこの佳人は一度だけ言葉をお話しになられた。
聞いたこともない美しい抑揚の言葉。
天人はかくもあらんと言わんばかり。
思わず御手に触れてしまったがお気になさるふうはなかった。
「娘よ。」
この人、さっきから“娘”“娘”って言ってるけど…
「僕は“男”です。」思いついた古代語で言ってみた。
?男と言っている?
私は隣にいたセテフを見た。
彼もそう聞こえたらしく軽く頷く。
その時、この佳人は姫にはあるまじき行動を取った。
僕はなにか邪魔くさくなったんだ。見てもらったらいいんじゃないか、と。
佳人はやおら寝台の上に膝立ちになると上衣の裾に手をかけて一気に捲りあげ頭から抜いてしまった。
5人の男達は一瞬硬直した。
全員の視線は桃色の乳首に。
シリスとセテフは納得した…ここまで胸がないのは…男だろう、残念ながら。だが後の3人にとって、そもそも卵性の彼らの女性に胸はない。
収まっていた筈の“欲情”が爆発しそうになる。
視線は白くて華奢な上半身とそこにアクセントを添える桃色の乳首にしか行かない。
少年は不十分だと思ったのだろうか。今度は下半身に纏っているものを寛げようとしている。
“ジジッー”ファスナーを下ろす音が聞こえ始めた瞬間、シリスが飛びついて止めさせた。
「わぁーっ‼︎」突然、覆い被されて押さえつけられた。
『も、もういいです。もういいですから。解りましたから!』みたいな事を言っているようだ。必死の形相で見つめてくる。
顎割れマッチョの腕をトントンと叩いて了解したむねを伝える。彼は僕から離れると上衣を頭からスッポリと被せてくれた。
どうやら性別の齟齬は解消できたようだ。
残るは言語の問題だ。
普通、異世界トリップの場合その異世界語は標準装備の筈なのだが…実際には自分の知識の中の古代語が僅かに通じるのみ…これでは…
何かを考えこんでいるようだった天人殿が次にとった行動もこれもまたとんでもないことで…もう私は知らん。
異世界トリップのお約束を思い出していた僕はあることに気づいた。うん。オプションだが試してみて損はない。
もぞもぞと上衣を整えながら5人の男達を見回した。
そのうちの1人。
全身をダークグレーの濃淡で包み鱗に覆われている。
髪は明るい目のグレー。短髪でつんつん立った角刈り風。爬虫類の名残か目は細いめで黒い瞳の中に紅い光を孕んでいる。鼻梁は高く唇は薄い。整った顔は笑うとどのように崩れるのか。「あの…」
呼ばれた気がしたセベクは寝台の上に立ち尚且つ背伸びして自分の胸に触れている天人に仰天した。
そして触れ合う唇…
シリスとセテフは硬直した。
ホルは真っ赤になって悲鳴をあげた。
トートは涙ぐんでいる。
そしてセベクは…石化した。
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