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ヒトと獣と 5
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sideシリス
錚々たる顔触れが集まった今回の会議。
圧倒的に捕食系が多いのだが、その中でも特に白獅子族やミノタウロス族は普段姿を見ることすら稀だ。
白獅子公マヘス、北部サバンナに住む獅子族亜種のリーダー。
そして狂牛ムネビス、彼等は半獣体しかとらない。
しかし今日は彼等以上に新顔の二人の若者が注目をあびていた。
まず、獅子族の若君アペデマク。
獅子族女族長の息子だがまだ10歳そこそこにしか見えない幼体だ。
そもそも今回の集まりは集団見合いに近いものがあるのに、こんな子供を送りこんで来た獅子族の意図がよくわからない。
そして、結果的に最も注目を浴びたのが、アビス。
橡【つるばみ】のアビス。
彼の紹介は叔父のセテフではなく鰐王セベクが行った。
sideセベク
「セテフ殿の甥御、アビス殿の事はご存知だろうか?
アビス殿、此方へ。」
アビスは末席からゆっくりと上座へ向かって来る。
全身のしなやかな筋肉が歩みとともに動き出し、黒光りするその身体は見惚れる程美しい。
…その背中の爪痕に幾人の者が気づいただろうか?
「現在、我が館に逗留されているジャッカル族の…
橡のアビス。
アヌビスの軍団の軍団長。
我の…鰐王の鱗を剥ぎしもの。」
周りのどよめきの中、シリスが椅子を蹴倒さん勢いで立ち上がる。
「アビス殿。失礼しました。
すぐに貴公の席をこちらに…」
慌てるシリスを遮るアビス。
「構いませんよ。シリス殿。
まだまだ若輩者ゆえあそこで十分です。」
踵を返して席に戻るのを見送って、デンウェンがつついてくる。
「何処やられた?」
素早く胸の一点を指す。
「ウソ〜!
俺なんか絶対敵わないじゃん!」
「アキラが止めなかったら大事になっていたかもな。」
隣のセテフが複雑そうな顔をしている。
sideアビス
茶番だ。
鰐王の心使いはありがたいが演出が派手すぎる。
先ほどから感じる熱い視線はアペデマク。
子供の頃弟のように遊んだことのある獅子人。
小さく手を振って来たので、笑みを返してやる。
パタパタと。
扉の外が騒がしい。
誰か来たのか?
「すみませーん。
失礼しまぁーす。」
聞き覚えのある声がして、扉が開いた。
皆の視線が集中する。
そこにちょこんと佇んでいるのはアキラ。
いつもより気合いの入った衣を着て(鰐館の女たちの執念を感じる。)帯には孔雀石の飾りが下げられている。
孔雀石…何か胸の中が暖かくなる…
じゃ、なくて!
俺は飛び上がるようにして立ちあがった。
「アキラ!どうしてここに⁈
それよりどうやって来た!」
アキラはニコニコと笑って、
「ハニさんに河を渡して貰って…」
鰐王が眉をひそめている。
「おばばに連れて来て貰ったの〜
小さな子が居るって聞いたからお菓子焼いて持って来たの。
あ、アビスも食べる?」
鰐王の隣で笑み崩れている叔父上が、
「私も欲しい。」と。
それより‼︎
「おまえ、まさか歩いて来たのか?」
俺はアキラの腋の下に手を差し入れ、
持ち上げて俺が先程まで座っていた椅子に降ろした。
跪いて足をとる。
「ダメじゃんか!この間言ったろ?
裸足で外を歩いちゃ駄目だって!」
美しい足指に付いた砂を払っていく。
「ここは中洲と違って地面が硬いんだよ。怪我したらどうすんだよ?」
俺の指がある一点に触れた。
ぬるつく感触と微かな血臭?
「あ〜!切れてるじゃんか!」
叔父上の腰が上がりかけているのを鰐王が止めている。
俺は躊躇なく傷ついた指を口に含んだ。
「アビス〜」
閨での愛撫を思い出させるような舌使いで舐めあげていく。
アキラの目元が赤く染まってきた。
ちゅっと最後に一舐めして顔を上げるとアキラの少し色っぽい顔が見つめている。
俺は自分の額をアキラの額に合わせると囁いた。
「もう裸足で歩くのは禁止。
今日は家の中も駄目だ。
わかった?」
「うん…」
頷くアキラに口づけると頭を離した。
突き刺さる視線が心地悪い…
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