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ヒトと獣と 6
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sideトート
扉が開いて現れたのはアキラ殿。
白い衣がよく似合っている。
数日振りに出逢えたかの君は元気そうで正直私はホッとした。
先日のやりとりではセベクが抱き潰していてもおかしくないと思っていたから。
橡のアビスとやりとりしているが何かやけに馴れ馴れしい。
まるで兄弟か、幼馴染のような…
驚いたのはアビスが跪いて足指を舐めた事だ。
気位の高いジャッカルが人前で跪くなどあり得ない事だ。
それが足指まで舐めるなどまるで恋人同士か夫婦のよう。
…私は気づいてしまった。
この二人は番になったのだと。
sideアペデマク
天女様に逢いに行くのだと言われて連れて来られたヒトの村。
ジャッカルのアビス兄上以外見知った者の居ない中、僕は少々気まずい思いをしていた。
なぜか大人たちの視線が刺々しい。
あの扉が開いたとき僕の時間は止まった。
いや、新たに動き出したのかな。
そこには金色の天女様がいらしてニコニコと笑ってらっしゃる。
そして僕の為に菓子を持って来て下さったというではないか。
天女様。
僕より年上で今は僕の方が小さいけど
成人したら絶対にお嫁さんにするんだと決意したんだ。
sideクヌム
末席に近い私の席からは二人のやりとりがよく見えた。
まあ、アレだ。
何のことのない、二人は衆人環視の中いちゃついていたのだ。
アヌビスの軍団長が先程までとは打って変わって蕩けるような甘い表情で世話をしている。
おや、どうやら怪我をされているようだ。
私は仕事柄天女殿の身体を凝視していて気づいてしまった…
椅子の上で膝を立てられたときに衣のスリットからまろびでた太腿の、その付け根に近い位置に散る鬱血痕。
やはりそういうことかと、変に納得してしまった。
sideデンウェン
金色を纏う子供が入ってきて場の空気が変わった。
つい今しがたまで殺気を漂わせていたセテフが目を細め笑み崩れている。
セベクも嬉しそうにしているがセテフの様子が尋常じゃない。
それにあの甥っ子、おデコごっつんこなんかしてまるで恋人同士のようじゃないか。
「どうなっているんだ?」
sideアビス
俺はアキラを縦抱きすると立ち上がった。
叔父上が早く連れて来いと焦れ出している。
「アビス殿。」
おや?余り面識のないはずのクヌムが何の用だ?
「拙宅には傷によく効く薬があります。帰りにお寄りになりませんか?」
薬か。
「ありがとう、宜しくお願いします。」
俺の噛んだ傷も乾いてきているし腫れてもいないけど診せた方がいいのかもしれない。
『こちらへ来い。』と合図されてやっと向かった叔父上の元で。
その瞬間、俺と鰐王を含むすべての者が息を呑んだ。
受け止めようと手を伸ばした叔父上に向かって嬉しそうに一言。
“ セティ ”と。
飛び付くようにしてその腕に治まったアキラが胸にしがみつく。
叔父上の大きな手が包み込むようにアキラの頭に触れる。
つい先程血に濡れた手が今はこれ以上ない程優しく愛撫していて、アキラは心地良さげに身を任せていた。
アキラの耳許で囁かれた、
“ ラー ”という名前。
それが聞き取れたのは自分だけだったが、全身の血が凍る想いをする。
俺たちジャッカルの一族は他の獣人に多い、繁殖期にカップリングして仔を成す種族と違い一妻一夫を守る種族だ。
そして伴侶との結びつきのグレードのようなものがある。
古の神格化されているような代々の族長夫妻の中には【魂の伴侶】と言ってこの上なく深く結びつき、唯一無二の対でお互いだけの愛称で呼び合った番が居たという。
ここ何代も現れて居ないし、第一叔父上は元々女性に興味を持てない方だ。
故に今まで伴侶を持つことなくおられた叔父上がアキラを得てこれから…
目が合った叔父上は狡い大人の笑みを浮かべておられて、おもむろにアキラの唇を奪う。
咥内を蹂躙する激しい口づけに皆は唖然とする。
叔父上、貴方は戦を起こすつもりなのですか?
シリスの館の一室ではしゃぎ疲れて眠ってしまったアペデマクの側で俺はアキラを組み敷いて…犯している。
アキラにあたるなど理不尽なのはわかっている、わかってはいるが持って行き様のない苛立ちを小さな身体にぶつけてしまった…
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