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ヒトと獣と 20
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セベクの股の間に座らされて、身体が辛いのかセベクにもたれたままセテフと対峙しているアキラ。
何度聞いても、何を聞いても自分の意思でホルの元へ行ったとしか言わない。
だが、直接接したセベクは勿論、セテフも気づいていた。
首のある一点についた爪痕。
そして、赤紫色に変色しつつある両の手首の痣。
それがあらわすのはひとつ。
拉致・監禁・強姦。
だがアキラは頑なに認めようとしない。
『頑固な… 』
さすがのセテフも舌を巻いた。
これ以上問い詰めても埒が明かないどころかアキラを疲れさせてしまうだけだ。
二人は目で合図をすると、尋問を終了させる事とした。
“ ちゃぷ ”
いつもの様にセテフの大きな手で清められているアキラとセテフの間に奇妙な緊張感が漂っていた。
「ラー。」
俯き加減のアキラの頬に触れてセテフが言う。
「ラー、私の目を見なさい。」
蒼い瞳が不安の色を浮かべている。
「ラーは我々の事を考えた事があるのか? 」
アキラは
ハッとしてセテフを見つめる。
「私はまだいい。
ラーの…生存ありきの捜索だったゆえ。
だが鰐王は、…セベクの捜索は河で…」
セテフの声が詰まる。
「わかっているのか?
鰐王はラーの… “ 遺体捜索 ” をしていたのだぞ。」
目をそらし俯くアキラを膝の上に乗せる。
「どのような気持ちでいたか想像出来るか⁈ 」
珍しく語気を荒げるセテフに怯え涙するアキラ。
「ごめんなさい… 」
「ラー、もう一度だけ聞く。
頷くか、かぶりを振るかでよい。
『自分からついて行った 』のか? 」
アキラはかぶりを振った。
セテフが大きく息を吐く。
ぐずぐずと泣きだしたアキラを抱きしめて唇を重ねた。
「ラー、泣かないで。
もう怒っていないから… ラー。」
涙を舐め取り口づけを降らせ舌を這わす。
「セティ、セティ! 」
泣かせるだけ泣かせて、泣き疲れて眠ってしまうまで泣かせて、くったりと弛緩した身体を強く抱きしめてセテフはやっとアキラの生存の喜びを噛みしめる。
心配した。
ただ、早い時期にアキラの香りを嗅ぎ取ることが出来て、セベクほどの想いをする事はなかった。
遺体捜索など…狂ってしまう。
滾る獣欲を抑える事が出来なかった。
悲愴感が消え、安堵して、そして性欲が傲る。
どれだけ獣なのだ。
これではアビスの事を笑えまい。
寝つきを襲い、無理矢理身体を繋げ、独りよがりに貪った挙句抱き潰した。
「ラー… 」
館の老女に、絶対にアキラから目を離さない様厳命すると出掛ける支度に取り掛かる。
後始末になるのか、手駒として利用する事になるのか、どちらになるのかはわからない。
だが、アキラがああも頑固に庇ったという事実だけは残るのだ。
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