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砂漠の悪魔 10
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蛇族注意!
蛇族が登場します。苦手な方はお気をつけ下さい。
現在、コブラ族の族長はヴァジェトという女性だ。
美しく結い上げたレモンイエローの髪。
象牙色の肌。白眼の部分が極端に少ない、黒い瞳。
ほとんど色をのせない薄桃色の唇と、そこから極たまに覗く先の割れた真っ赤な舌。
何よりも彼女は完全に人化していて、一枚の鱗も見当たらない。
そしてもう一人。
禿鷲族のネクベト。
まず目を引くのがスキンヘッドのその頭部だ。
ヴァジェトより僅かに色味の濃い肌色の形の良い頭。
そこに装飾品のような耳がついている。
瞳の色は黒だが虹彩に細かい星が散っている。
そしてその周りを彩るもの。
細めの眉とびっしりと生えた睫毛。
紅い唇は濡れたように光っている。
二人とも椅子に掛けているので正確なところはわからないがセベクよりもかなり背が低く感じられる。
それから、この二人は常時一対で行動している。
勿論性的な関係はない。
いつの頃からか、コブラ族の族長には禿鷲族のものが影のように付き従う。
そういうものなのだ。
「母上さま。」
ネフェルテムはかなり若い幼体で、今は白に近い身体をしているが成長するにしたがってレモンイエローに変化していく。
彼女等親子はアルビノ体に近いキングコブラの亜種、毒吹きコブラに近い個体だ。
「女神さまがいらっしゃいました。」
「綺麗な女性《ひと》たち…… 」
沈黙を破ったのはアキラだった。
二対一で見つめあっていた初対面の場。
セテフに抱かれたままだったアキラはするりと床に降りると卓に近づく。
「はじめまして。僕、アキラです。よろしくお願いします。」
また、いつもの習慣で右手を差し出した。
音もなく立ち上った二人は同時に女性型の礼をとる。
「私、コブラ族族長のヴァジェトと申します。そこにいるネフェルテムの母です。
この度は…… 」
アキラの手を取り、己の少し硬質な頬を付けたヴァジェトは目の前のこの姫を吟味する。
“ お可愛らしい…… ”
その姿を見ているだけで自然と笑みがこぼれる。
「そしてこれはネクベト。
私の影?です。」
自己紹介をしている三人を見て、渋い顔を隠さないのはセベクだ。
アキラに群がる雄どもは勿論、近づく女子供も気に食わない。
「あの…… 」
アキラがヴァジェトに話しかける。
夕餉の宴のとき。
アキラは昼の間、子蛇とたっぷりと遊び上機嫌でセベクとセテフの間に侍っていた。
近くの老女から布の包みを受け取る。
「あの、これ……
僕と一緒に堕ちてきたもので、本来僕のものじゃないのですけど…… 」
そう言って開けた包みからは二対のピアスが現れた。
「今はもう存在しない人の持ち物だったものです。お嫌なら仰って下さい。」
彼らは装飾品などを代々受け継いでいく習慣があるため、嫌悪感はない。
嬉しそうに笑む二人にピアスを差し出した。
富裕層の婦人のものだったのだろうか、ピジョンブラッドのルビーをわざと小粒にカットして多数使いのボリュームのあるデザインのもの。
もう一つは大振りな三重の金の輪のなかにペリドットがぶら下がっているもの。
こちらはネクベトを一目見た時に、“ これを! ”と思ったものだ。
「これは耳に穴を開けなくてはならないのですけど…… 」
「ありがとうございます。」
目をキラキラさせたコブラの女王様がルビーを取ってネクベトに渡す。
ネクベトは位置を定めてアキラに確認をとると躊躇せず釣り針の形状の針の先で耳朶を貫いた。
二人の耳であと三回繰り返されて、現代のピアスはこの二人のものとなった。
流石に女性。
少女のようにはしゃいでいる。
「アキラ様。」
宴が終わり、寝所へ引きあげようとしているアキラをヴァジェトが呼び止めた。
「はい? ……‼︎ 」
襲いかかるように拘束して抱きしめる。
まるで蛇が巻きつくように徐々に締めつけて、おもむろに唇を奪った。
ヴァジェトの結い上げた髪がほつれルビーのピアスが激しく揺れる。
アキラはヴァジェトの口づけに、舌遣いに翻弄された。
意識が遠のいていく。
動かなくなった獲物に気を良くしたかの様に、蹂躙し尽くし満足げに唇を離した彼女の目は、アキラの夫達が時折浮かべる猛りきった情欲の色に染まっていた。
「何をしている? 」
セベクの緊張しきった鋭い声。
「鰐王どの……
アキラ様はこれでコブラ属の毒に害されることはございさせぬ。
私の体液を口移しで注ぎ込みました。
勝手だとは思いましたが、お許し下さいませ。」
思いもよらないコブラの守護。
セベクに文句はないがその方法が……
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