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さすがにホモ疑惑は後で訂正するとして、それにしても『友達から』とか言ってたがアイツもそれでいいのか。
俺くらいになると男から告白されることも少なくない。
顔面偏差値的に男でもいいと思ったのか、それとも面倒くさいから適当にあしらわれただけか。
「……」
間違いなく後者だろこれ。
色々と思うところはあるが、それでも一先ず友達からってことは友達にはなれたってことだ。
ついに俺のぼっち生活も終わりを告げたのか。
そう気付けば、ぶわっと背筋から頭の先まで身震いするような感動がこみ上げてくる。
学校で誰かと飯食ったのだって久々なのに、友達ができたのなんてマジでいつぶりだ。
これから有坂とクラスで話したり、一緒に昼休み飯食ったり、もっと仲良くなれたら学校帰りや休みの日に遊びに行ったりとか出来るのか。
まあ部活優先だって言ってたからその辺は友人としてちゃんと考慮してやろう。
そうだ、もし鬱陶しいと思われてるなら少し間を空けてもいいかもしれない。
別に友人関係は焦ることじゃないし、いっそ夏大終わるまでは見守ってやったっていい。
どうせ一回戦負けならすぐ終わりそうだし。
そんなわけでウズウズする気持ちはあるが、明日の昼飯は友人として遠慮してやることにした。
やっと出来た友達なんだ。
大切にしたい。
「おい、結城」
四時間目の授業が終わり教科書を机にしまっていたら、上から声が落ちてきた。
見上げれば有坂が俺を見下ろしていた。
え、なんで。
クラスメイトだからここにいるのはおかしくないが、まさか有坂の方から声を掛けてくるとは。
今日も俺を見る目は安定の仏頂面で逆に落ち着く。
「一緒に飯を食うんだろう。時間が無くなるから早く来い」
「えっ」
あまりに無愛想すぎる誘いで一瞬何のことか分からなかった。
が、一拍置いてドカッと気持ちが込み上げてくる。
マジかよ。
友達に昼飯誘われたんだが。
今日は遠慮しとくかって思ってたのに。
この俺が友人のために配慮してやろうと決めた所だったのに。
「い、行く」
ガタッとすぐに鞄を持って席を立ち上がる。
有坂はさっさと先に足を進めていたが、すぐにその背を追いかけて横に並ぶ。
「なあ、また部室?今日もお前コンビニ飯?飯食ったらまた練習すんの?毎日一人で練習してんのか?」
予想外の誘いにテンションが上がる。
こうやって家族以外とフツーに話せる日が来るとは。
昔から俺の遊び相手は専ら兄貴達だけだった。
「…質問が多いな。部室には行かない。部外者を立ち入れるわけにはいかないと言っただろう」
「え、じゃあどこで食うんだ?」
「学食に行く」
「おお、マジで!?」
学食には一度も行ったことが無い。
毎日母親に弁当持たされるのもあるが、何より友達同士わいわい楽しげにはしゃいでいる場所にぼっちな俺が一人で行くはずもない。
それでも本当は俺だって友人がいるなら、いつも昼休み前になるといい匂いが漂ってくるその場所で一度くらい飯を食ってみたかった。
「そんなに嬉しそうにすることか」
「おー、嬉しい。俺学食行ったこと無いんだ」
「…ああ、そういえばお前弁当を持ってきていたな。今日はないのか」
「え?あるよ」
感動している俺を他所に有坂はまたしても理解できないという表情をしたが、別にこいつと感性が合わないのはもう知っている。
「弁当を持っているなら結城は行っても意味ないだろう」
「あるよ。お前と一緒に行ける事が意味あんの」
上機嫌で隣を歩きながらそう返す。
いっそ有坂に弁当あげて俺が学食食ってもいいな。
コイツ弁当のがいいって昨日言ってたし。
「…変わった奴だな」
隣で有坂がぽつりとそう言ったが、俺は終始上機嫌だった。
自分が他と違うことなんて、ちゃんと分かってる。
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