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優しい家族
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階段を降りて玄関のそばに荷物を置いて、
家族がいるリビングに行く。
「もう準備できたよ。」
「そうか。佐々木さんはもう少しで着くらしいから少しだけ待ってなさい。」
「わかった。」
お父さんが話した佐々木さんはお父さんの友人で車で乗せてってくれるらしく。
お言葉に甘えて乗らせてもらうことになったんだけど、佐々木さんの車で駅まで行った後は、
一人で行くことになっていて、正直、間違えないか心配で夜も眠れず、
間違えたところで降りる自分を想像して身震いした。
その様子を見ていたのか、お兄ちゃんがヨーグルトを食べながら言った。
「心配すんな。家族全員でどの駅で降りるかとか調べてメモ書いただろ?
大丈夫、お前ならできるって。学校で外部と電話するのはいけないらしいけど、
メールはいいらしいし、困った時は誰でもいいから家族に連絡しろよ。」
こくりと頷いて、お兄ちゃんの言葉に少し感動する。すると、今度はお姉ちゃんがやってきて、
来るなりギュッと抱きしめられた。
「無理しない程度に頑張ってね。」
そう言って僕の背中を優しく撫でた後、名残惜しそうに離れた。
「ありがとう。」
素直に感謝の気持ちを伝えた時、インターホンが鳴った。
お父さんが席を立ち、玄関に向かっているのが横目で見えた。
向こうから玄関のドアが開く音がすると同時に佐々木さんの声が聞こえて挨拶するべく、玄関に向かう。
玄関に行くと、佐々木さんが笑顔で話しかけてきた。僕は軽く会釈をして、よろしくお願いします。
とお辞儀をした後、荷物を手に持った。靴を履いて玄関を出る。
佐々木さんに荷物を渡して、玄関に入って家族に向かって挨拶をすると、家族がでてきていってらっしゃい。
気をつけてね。と、返してくれた。僕は頷いて踵を返す。
その時、お母さんが慌てて呼び止めた。
「はい、これお弁当。学校まで長いから、お腹が空いたらこれ食べてね。
あ、あと。好きな人ができたら、一生懸命アタックしてアタックしてアタックしまくりなさい!
お母さんはそうして素敵なお父さんを捕まえることができたのよ。
だから、真尋も頑張ってね。お母さん、応援してるから。」
「おい、その話をするなと言っただろう。」
「お母さん、僕が行く高校は男子校だよ。好きな人なんてできるわけないって。」
僕は呆れながら返事をした。
こっそりお父さんを見ると耳が赤くなっていて、なんだかんだ言って嬉しいのか。
なんて思って思わず笑った。その時、後ろから佐々木さんの呼ぶ声がして振り返る。
「呼んでるからもう行くね。お母さん、お弁当ありがとう。
それじゃ、2回目だけど行ってきます。」
ゆっくりドアが閉まっていく、僕は振り返らずに佐々木さんの黒い車に乗った。
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