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帝中時代の話だ。
『おいおい、マジかよ』
練習が終わって部室に戻ると、着替えの途中で疲れて寝てしまったのか、制服のシャツが途中まで閉まっただけの状態のテツがベンチで横になっていた。
鎖骨が…なんか…
……俺は巨乳派だし!つかこいつそもそも男だしそれにテツだろ?
ないな。
『おい、テツ起きろ』
肩に手をかけ軽く揺らす。
反応無し。
少し強く揺らすと、少し顔をゆがめて、
「んん…ん、ん…」
と声を漏らす。
…理性が揺らぐ。可愛い、と不覚にも思ってしまった。
『テツ』
囁いて軽く頭を撫でると、テツは気持ち良さそうに笑った。
……こいつ、起きてねぇんだよな。
興味本意に似た感情故に、唇を重ねた。
「ん…あおみね…君?」
…起きたッ?!…は、いつからこいつ起きて……、
「どうしたんですか…?顔なんて近づけて。」
『いや……なんでもねぇ……?』
するとテツは、は?という顔をした。
おい、頭の上、ハテナマーク浮いてるぞ。
『気にすんな…ってか、ここで寝んな。風邪引いたらどうすんだよ』
テツは申し訳なさそうに目を逸らして
「すみません…気をつけます」
と顔を赤くした。
それからしばらくして、2月14日。
『ねー黄瀬ちん、これ貰っていい?』
『それ女子からのチョコだから腐る程あるんでいいっスよ☆』
黄瀬が死ねばいいと心の底から思った。
『みんなもどうっスか?どうせ1人じゃ消化できないし』
『ありがたく頂くのだよ』
『あー、じゃあ貰うわ。』
「僕も頂きます。」
ん…?これ……………
『うわ、なんかこれ酸っぱい』
『あー、お酒かな。これウイスキーボンボンっスね』
そんなことを話していると、テツがへたりとその場に座り込んだ。
『おいテツ、どうかした…、?!』
テツの顔が真っ赤だ。
それに目が潤んでて、体にも力が入っていないみたいな
「あぉみね…くん…なんか…体がふわふわしましゅ…」
ん…?
『あれれ、黒ちんチョコで酔っちゃったのー?』
そこで後ろから殺気を感じた。
それは紫原も緑間も黄瀬も同様。
振り向くとそこには赤司が殺気を感じさせる笑顔で立っていた。
『これじゃあテツヤが練習できないよね?』
「あかひ君…」
『テツヤ…?なんだい?…っ?!』
テツはすっと立ち上がり、赤司にキスをした。
それも、こっちが恥ずかしくなるような激しいやつ。
『…っぷは、テツヤ、お前…こんな少量の酒でここまで泥酔いするのか?ちょっとこれは注意したほうがいいな。』
いや、冷静に考えてんじゃねーよ
つかもうなんか…ヤバイ……
『ん~?黒ちん美味しそ~』
顔をあげていたテツに紫原がキスをした。
「んん?っ、ん、ふっ…ぁっ」
ドスッ
鈍い音が体育館に響いた。
『かは………………っ』
少し揺らめいで紫原が倒れた。
おい。テツ待て。その構えは…
イグナイトじゃねぇか!
あれってあんな威力あんのか?!
あの紫原が倒れたとか…
「ぁおみねひゅん……………」
『え?』
テツが俺を押し倒した。
いや、別に倒れないようにもできるっちゃーできるけどよ……
抵抗した後のイグナイトを想像すると……
……しんどい。
他の奴らもイグナイトされる可能性があるから動かない。
「ん…あぉみねひゅん…んっぁぅ」
こいつ…上手すぎじゃねーか…?
どこからこんなテク引いてくるんだ。
「ぷはぁ、ふぅ、」
『青峰っちずるいっス!うぅー』
『なん…っ、黒子、えっ、は?』
黄瀬は悔しそうに子供のようにじたばたしていて、
緑間はその隣で俺たちを指差してブンブン振りながら、あたふたしてる。
少し考えたようにして、赤司が言った。
『…テツヤ、ちょっと来い』
「んぁ?いやれす。」
…テツは俺から離れて赤司にイグナイトをぶつけようとした、が。
『僕に逆らうのかい?』
赤司が笑顔で言った。
ピタっ…と、テツの動きが止まる。
「あぃ。」
赤司はそのままテツをつれて何処かへ行ってしまった。
俺と黄瀬と緑間と、倒れてる紫原は広い体育館で呆然としているしかなかった。
しばらくして、テツと赤司が帰ってきた。テツはなにも覚えていないようで、もう酔いはすっかり覚めていた。
『赤司…なにをしたのだよ』
『ふふ、僕に出来ないことはないよ』
赤司が本気で怖いと思った。
こんなことがあって、そんでもって俺もどんどんやさぐれる…つーか…まぁ色々あって卒業まで…いや、テツが部活を辞めるまでギスギスしてしまった。
そして今に至る。
高校に上がってしばらく。
テツの顔、ここ数ヶ月見てねえなあなんて思いながらだらだら過ごしていた。
ぽっかりココロに穴が空いてるみてーで気持ちが悪い。
マジバの近くを歩いていると、懐かしい水色のあいつが見えたような気がした。
『テツ…?』
すると、水色のそいつは振り返って少し驚いた表情で駆け寄って来た。
「青峰君…!お久しぶりですね。元気にしていましたか?」
と言ってテツは、無表情でわかりにくいがニッコリと笑った。
『あー……久しぶり…だな。』
「青峰君?顔が赤い…ですけど、どうしたんですか?」
マジ……そんな重症かよ
『あ、暑い…だけだ』
目を逸らす。するとテツはなんの疑いも持たないようで、ただ、そうですか、と言った。
なんだか心が軽くなった気がした。
「青峰君…。その…ですね、伝えたいことがある、っていうか、踏ん切りつけたいことがあって。今、いいですか?」
まぁこの後用事はないし…
『いいぜ。なんだよ?』
すると、目を逸らしながら小さな声で呟いた。
「僕…は、青峰君が好き、でした。」
…は?
「その…恋愛感情として…」
そんなの、ずっと前から俺もそうだ。
『俺も…「でも、今は違います。」』
………………は?
「僕は青峰君の……、みなさんのやり方についていけなくなってしまいました。僕はあのときなにもできなくて……、なのに僕は、今の誠凛でのバスケ…生活を楽しんでしまっていて……、。僕は……、」
あぁ。そうか。
俺は…遅かったのか。
「すみませ…何言ってるか訳わかんないですよね…?忘れてください。失礼、します。」
そう言うと、足早にその場から立ち去ってしまった。
『はっ……だからなんだってんだ』
あ?おかしい…だろ…
…何で…俺、泣いてんだよ?
『テツ…っ』
大切なモノが手から滑り落ちていったようだった。
最初で最後の恋と失恋のお話。
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