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木日(死ネタ)
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今、誠凛高校で部活動をしている真っ最中。
『オラ!そんなんじゃ強豪に勝てねぇぞ!1年も!』
「「「はい‼︎」」」
今年の1年は良く言えば個性豊かだ。
やる気も十分。
……いい奴らに恵まれたよなぁ…
「あの、日向先輩、木吉先輩は…?」
『くっ、黒子?!……ったく、ビビらせんなよ。木吉か、木吉はな…
今はアメリカだよ』
そう、木吉は今アメリカにいる。
なんかアメリカに住んでる叔父さんが大変なことになったから今日は休む!悪いな!
…とか言って部活サボりやがった…
まぁそんな風に人を気を使えんのはあいつの良さだし、それはそれで構わない。
黒子はそうですか、とだけ言って練習へ戻っていった。
夜、部屋で一人で入るとき、メールの着信音が鳴った。
……ん?なんだ、メール?
木吉から…
『明日の夕方5時の便で帰るぞ!
叔父さんはどうにかなったし、なによりお前らと早くバスケしたいしな!
明後日、会おうぜ。』
…明日…5時か。
、叔父さんどうにか…って何があったか知らないんだけど?
ーーーー次の日夕方6時
…もう帰ったか?
今日は部活なかったし暇だなぁ…
ふとテレビをつけるとあるニュースが流れていた。
"先ほどアメリカ発の便が海に転落したとのニュースが入りました。
運転手、乗客合わせて384人中、383人が重傷、軽傷を負い、1人は病院に運ばれてまもなく死亡しー、…
遺体は高校生の…"
その画面に映し出されたのは…
木吉鉄平、と言う名前と
木吉の笑顔の写真だった…。
"彼は子供を助けるために自ら海へ飛び込んだ、ということです。
助けられた子供は一命をとりとめました。"
…は?木吉が…死んだ?
なんだよ…それ…
"その時の映像が残っています。どうぞ"
そこには溺れかけている子供と…
沢山の人と…
木吉がいた。
"「離せっ!まだ助かるんだ!助けて見せる!お前らは目の前で子供を殺すのか?!…っ、離せ…っ!」"
そして木吉は周りが止めるのも聞かずに…
海へ飛び込んだ。
海は随分荒れているように見える。
木吉は子供を抱え上げて周囲の人へ渡した。
…そこで荒い波が襲ってきた。
木吉が…画面から消えた。
ふざけんなよ…なぁ?
なんで…木吉が死んだんだよ…?
子供を助けようともしなかった奴らが生きてて…助けた木吉が死ななくちゃならないんだよ?!
どうやって止めてもきっと
木吉は子供を助けただろう。
でも…もし周りも協力していたら?
もう少し木吉を離すのが早かったら?
木吉は…悪く…ないだろ?!
"彼の死は無駄ではありません。"
"彼は日本の誇り…英雄です!"
死が無駄じゃない?
当たり前だろ?無駄な死なんてねぇよ。
誇り?英雄?木吉が?
まだ全国大会だって行ってないんだぜ?
希望があったのに?
死んだのかよ?
あぁ。あいつの優しさは知ってる。
無謀さも…勇敢さも。
決して自分を優先しない。
必要があれば自分の身がどうなろうと立ちはだかる。
…そんな…良いやつだったって…
分かってるぜ、分かってるけどよ…
ふざけんなよ…死ぬとか…マジで…
俺はお前のお陰でバスケの楽しさを思い出せたんだ…戻れたんだ。
色んな事があって…色んな事を積み重ねて…
もう目の前に夢のゴールはあったのに…
俺は…木吉、お前が…大好きだったんだ…
お前が帰ってくる、
明後日ってやつはいつ来るんだよ。
木吉の葬式は案外あっさりやってきた。
『……………木吉…っ、クソっ…』
「木吉…先輩…っぅ、ぅぁ…」
「木吉…っ、いくら…お前でもお前が死ぬとかありえないから…っ」
「…………っ、」
バスケ部メンバーは皆泣いてた。
俺も、な。
「ねぇ、日向君、だよね?」
『えっ、あ、はい。日向です…』
この人は…木吉の母親か?
「鉄平がね、多分貴方に向けて書いたんだと思うんだけど…飛行機が落下する直前に遺書を残してたの…。
…受け取ってもらえる?」
…遺書?俺に向けて?…どうして…
『有難う…ございます。』
帰って木吉の遺書らしきものを開く。
…そのには、震えた字で言葉が綴られていた。
ーーーーーーーー
日向へ
今なんかアナウン
スで事故があって
飛行機が落下する
とか…言われた。
死ぬか生きるかわ
かんないからさ、
日向に手紙書いと
こうと思ったんだ
よね。
俺の人生呆気なく
終わるんだなぁ。
バスケ楽しかった
ぜ。サンキューな
!
俺が死んだら…、
あーまぁそんなに
気にすんなよー?
火神にすぐ熱くな
る、とか言ってる
けど日向だってす
ぐ熱くなるからな
!
あ、今多分飛行機
落ちてるかな。
ちょっと怖いけど
こうして日向に最
後の言葉を残せる
だけ、優しいのか
な。
なぁ日向。
誠凛をよろしく頼
むぜ!お前なら大
丈夫だろ?
本当に…楽しかっ
たぜ。
日向。ずっとお前
が好きだった。
多分死んでもずっ
と好き。大好きだ
と思う。
ま/:会お-」な!
ーーーーーーーー
最後の一行は濡れた後があって読めなかった。
これはきっと木吉の涙だと思う。
ちょっと怖い、なんて嘘だ。
もっと怖かったと思う。
死にたくないって思っただろう。
こんな風に遺書書いてから落ちて、
生きれる希望が見えたんだ。
嬉しかったんじゃないかと思う。
それなのに…。
子供を助けるために荒れた海に飛び込むとか…
本当…バカだよなぁ…
どんだけお人好しなんだよ…
死んでから好きとか…
遅いっつの、ざけんな…
……くしゃ、と握りかけた手紙の裏に何かが書かれていることに気がついた。
ーーーーーーーー
俺はずっとそばに
いるから。
安心しろよー!
木吉 鉄平
ーーーーーーーー
『木吉…?』
呟くと後ろから暖かな風が吹いてきた。
…木吉がいると思い込んでも罰はあたんねぇ
よな?
俺は木吉の分も誠凛で頑張っていこう。
そう、決心した。
なぁ、木吉。俺が死ぬまで…待っててくれ。
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