アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
痛みに歪む顔
-
耳を追いかけるように寄せられた近衛の顔。
「逃げないでよ……」
囁かれる声に、ふぅっと濡れた耳にかけられる息に、指先まで痺れが走った。
切なく縋りつくような、甘えた音を放つ近衛の唇に、締めつけるような痛みが、心臓を鷲掴む。
近衛と番には、…なれない。
あの近衛家が、僕のようなΩの血が入ることを、許すはずがない。
それをわかっているクセに、少しでも傍に居たくて。
僕は、近衛に我慢を強いた。
『卒業まで待って欲しい』と、まるで近衛の為だと嘘を吐き、哀しい結末を先伸ばした。
近衛の我慢が、報われるコトはない。
触れてしまった手を、簡単に引っ込めるコトが出来なくて。
惹かれる想いは、どうやったって、消えてはくれなくて。
近衛家に挨拶に行けば、間違いなく僕は、近衛の傍から剥がされる。
近衛家の跡取りであるこいつとは、添い遂げるコトはどうやったって、出来ないんだ。
胸の痛みのままに、歪む顔を近衛へと向け、口づける。
放したくない。
離れたくない。
本当は、ずっと傍に居たい……。
右手を近衛の首裏へと這わせ、引き寄せる。
言葉に出来ない想いをぶつけるように、近衛の唇を貪った。
絡め取るように、吸い上げるように、近衛の口腔内で蠢く僕の舌を、甘く噛られる。
「んっ………んっふ…」
叱るように噛まれた舌にも臆せずに、僕は、近衛の唇を愛撫する。
溢れる唾液が、口の端から零れ、顎を伝った。
頭を固定する手を剥ぎ取った近衛は、顔を離し、僕の顎を伝う涎を舐め上げた。
「なに?」
急激な方向転換をしたように、積極的になった僕に、近衛は訝しげな色を浮かべた。
僕は小さく首を振り、再び、唇を寄せた。
「シたく、なっただけだ……」
ぼそりと声を零し、どろどろに濡れた近衛の唇へと歯を立てた。
「やっぱダメとか、聞かねぇから」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 224