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オレのせい
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今回は、相手も断るつもりの見合いで、助かった。
でも、次も同じになるとは、限らない。
まして、オレからの断りなど、どうしたって入れようもない。
ガチャリと重たい音を立て、家の鍵を開けた。
開いた扉の先、リビングを照らすのは、夕暮れの日差しだった。
リビングに入ると、ダイニングテーブルに突っ伏している懐里の姿が見えた。
「ただいま」
懐里に向かい、声を掛けた。
でも、その頭は上がらない。
こんなところで、うたた寝か?
ベッドへ行かないにしても、せめてソファーには移るだろう。
訝しく思いながらも、足を進めた。
ポケットに入っていた財布や車のキーを、ダイニングテーブルの上に無造作に置く。
「懐里……?」
顔を覗き込むように腰を曲げる。
懐里の顔を覆う髪を、耳へとかけようとした。
髪の隙間から見えたダイニングテーブルの上に、小さな水溜まりが出来ていた。
その出所は、懐里の口許……?
「懐里っ!」
慌て、両頬を包み、懐里の顔を自分へと向ける。
口端に、涎の泡が付着していた。
「……っ!」
驚きと衝撃に、オレの身体は硬直する。
懐里の頬を包み込んだままに、唯一動いた瞳で、ダイニングテーブルの上に視線を走らせた。
いくつもの穴が開いたPTP包装。
1シート分が空になった避妊薬。
それを飲んだのは、間違いない。
なんでっ。
「何してんだよっ!」
大きく叫んだところで、懐里が目を覚ますはずもない。
なんでこんなものっ。
自殺を図ろうとしたのか!?
やっと落ち着いたと思っていたのにっ。
玄弥に会わせたからか?
オレの、……せいだっ。
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