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運命を見つける
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「ぃ………」
全体重がかかる宇波の髪が、ぶちぶちと抜ける。
髪を掴む手を剥がそうと足掻く宇波に、帝斗は、ナイフを翳す。
「今すぐ、殺ってやろうか? 俺は、お前を殺すのと、蟻を潰すのと、なんらかわんねぇからな」
髪の隙間から見える冷酷な帝斗の瞳。
縮み上がった宇波の股間周りが、じわじわと色を変えていった。
帝斗の威圧に、失禁したのだ。
帝斗のジャケットを羽織り佇む妃羅の頸へと宇波の顔を近づける。
妃羅の不安げな瞳が、私を見ていた。
近づいた宇波の歯が、妃羅の頸に立てられる。
「…………ぁ」
小さく声を放った妃羅の瞳が、目蓋の裏へと隠れた。
身体中の力が抜けたように、すとんっとその場に座り込む。
「妃羅……?」
不安に歩み寄った私は、小さく妃羅の名を呼んだ。
ぞわりとした感覚が背を撫でた。
頸に、ぴりぴりとした痺れが走る。
思わず、頸に手を当て、顔を歪めた。
「艶?」
再び、宇波を沈めた帝斗が私を呼ぶ。
頸の痺れに、歪んだ顔のままで、帝斗へと瞳を向けた。
帝斗の指先が、私のマスクを摘まんだ。
少しだけ引かれ、微かに出来た隙間から流れ込んできたのは、妃羅のフェロモンだった。
香りが、脳を撹拌し、心を犯していくようだった。
「ぁあ………」
悔しさに胸が潰れそうだった。
戻されたマスクに、瞳は涙の膜に覆われた。
「運命………見つけたわ」
ははっと泣き笑いのような顔で笑む私に、帝斗は、ぐっと奥歯を噛み締めた。
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