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香り立つ似非のフェロモン
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一通り家の中を案内され、縁の寝室へと促された。
キングサイズのベッドが部屋の大半を占め、その横には、30センチ程の高さの小さな引き出し付きのサイドテーブルが置かれていた。
大きなベッドへと、優雅に腰を下ろした縁は、冷めた瞳を私に向けた。
「今度は、あんたか。男でβ。順当なところだよな。でも、あんたで勤まるのか?」
勃たなきゃ意味がないだろ? と、嘲るような瞳を向ける縁に、扉付近に立ち止まったままの私は、黒羽家に持たされた小瓶を振るった。
縁は、黒羽家にとって厄介な取引相手だった。
黒羽家から人を送っても、孕んで使い物にならないと直ぐに突っ返された。
戻ってくるはずの女やΩたちは、そのまま姿を消すことが多かった。
買い取った人間ではない限り、黒羽家は深追いすることはない。
女性やΩでは、直ぐに孕ませてしまう縁に、私なら最適だと考えたようだった。
「これがあります」
透明の瓶の中で、ちゃぷりと揺れた【魅惑の香水】が音を鳴らす。
「フェロモンの香水か……」
ふっと嘲るように鼻を鳴らした縁は、詰まらなそうに瞳を背けた。
私は徐に、手にしていた香水を左の手首に吹きかけた。
水滴が馴染む手首で、頸を擦る。
フェロモンが感じられない私でもわかるように、微かなバラの香料が入っていた。
ふわりと漂う香りに瞳を戻した縁は、ゆるりと立ち上がった。
近づく縁に、思わず身体が強張った。
私より20センチ程度背の高い縁が傍に立つと、軽い威圧感がある。
私の手の中にある香水に手を伸ばした縁は、それを掴み、忌々しそうに見やった。
「こんな偽物にすら煽られるとはな……」
香り立つ似非のフェロモンに、縁は、大きく息を吐く。
私の手を取り、ベッドへと誘う。
この香水に塗れ、何度となく犯されてきた身体は、バラの匂いに反応するように、ぞわりとした感覚が背を撫でていく。
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