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胸に蔓延る羞恥心
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心の端から、じわじわと凍っていく感じがした。
微かに漂う薔薇の香りに、ふわりと煽られた欲望は、縁の冷たい対応に、じりじりと沈下していった。
縁の瞳に自分が映らないコトが、何故か胸の奥をもやもやとさせた。
自慰を見せつけられる。
私は、そんなコトで興奮するような性癖を持ち合わせていない。
見てはいけないものを、見せられている感覚だった。
変な背徳感が、靄のように心を覆っていった。
熱くなる縁と冷めていく私。
感情の温度差に、私の心は、羞恥が色濃く支配していく。
「悪い。噛むぞ」
私の意思などお構いなしに、縁の歯が、頸に沈んだ。
「………ぃっ」
強めに立てられた縁の歯に、痛みが走る。
はっはっと短く吐かれる縁の熱い息が、頸を擽る。
ただ噛みつかれ、触れることが許されない私の興奮は、腹底で蠢くだけ。
冷めた感覚で、時が過ぎるのをじっと待つしかなかった。
針が振り切らない欲求は徐々に鳴りを潜め、恥ずかしさだけが、心の大半を埋めていく。
ベッドの下に足先を忍ばせた縁は、そこから何かを引き出した。
荒く引かれた浅いボックスの中には、直径5センチ程の筒状の小瓶。
10数個の小瓶が、互いにぶつかり合い、ガチャガチャと音を鳴らす。
私から身体を離した縁は、小瓶のひとつを取り上げ、片手で蓋を開けた。
何度かペニスを扱き上げ、小瓶の中へと白濁を放った。
小瓶の蓋を閉めた縁は、肩で大きく息を吐く。
乱れた衣服を直し、縁は口を開く。
「滅菌済みだ」
白い粘液が収まる小瓶を、私の目の前に差し出した。
「あのゴムの感触が嫌いなんだ。これでもいいだろ?」
あのゴムとは、精液の採取が可能な特殊なコンドームのコトだろう。
「あのケースに入れれば、4時間ぐらいは鮮度を保てる」
そう言って指し示された先には、小瓶専用と思われる運搬用の保温ボックスが置かれていた。
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