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蘇る感覚
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私はそのまま、縁の家に住んでいた。
料理や洗濯、掃除などの家事全般をこなしながら、週に1度、【魅惑の香水】をつけて、縁の部屋に赴いた。
採取の方法は、変わらない。
私の横で、縁が自慰に耽るだけ。
頸と身体の左側に感じる熱。
それを感じれば、感じるほどに、私の心は、冷めていった。
見せつけられる行為に、冷めた心の隅で、恥ずかしさだけが浮き彫りになっていく。
温度差による歪みは、私のやるせなさを助長していった。
3ヶ月ほどが経ったある日。
縁から受け取った精液を手に、黒羽製薬のラボを訪れた。
精液を担当者に預け、そのまま縁の家へと帰ろうとラボの中を歩く私。
「那須田」
俯き歩く私に、正面から声を掛けてきたのは、タブレットを覗きながら足を進めていた帝斗だった。
ゆるりと歩み寄った帝斗は、不審げに私の顔を覗き込んだ。
「疲れてるな?」
15歳の子供に心配されるのは、癪でしかない。
でも、裏を返せば、それほどまでに私は疲れた顔をしていたのかもしれない。
「いえ……」
でも、疲れることなど、何もない。
身の回りの世話…、セックス抜きの純粋な家政婦の仕事をしているだけだ。
休息だって、充分に取れている。
疲労するコトなど、何もない。
「少し寝ていけばいい」
言葉と共に私の腕を取った帝斗は、迷いなく足を進める。
連れてこられたのは、仮眠室だった。
シングルベッドと小さな机と椅子だけがある、こじんまりした部屋。
白色の壁に白を基調とする数少ない家具が置かれた部屋は、医務室のような空気を持っていた。
この仮眠室は、ラボの従業員も使用するが、私のような実験体も、よく寝かされていた。
帝斗は、何の迷いもなく部屋へ入り、手にしていたタブレットを机の上に置いた。
部屋の様相に、帝斗の後ろ姿に、じわじわと身体が反応する。
ここに捕らわれ、セックス漬けの日々を送っていたあの頃の感覚が、下腹部から、ぞわりと広がっていく。
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