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幸福の中に埋もれた
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だらしなく開いた唇の端から、たらりと唾液が滴った。
「ぅ、………ぁ、くぅ、は…ぁあ、あ、ん…ぁん…」
一度、零れてしまった喘ぎは、止まることを知らなかった。
揺さぶられる度に、口の端から嬌声が溢れた。
「可愛いな……」
ぼそりと呟かれた縁の言葉は、意識せずに発せられた独り言のようだった。
抑えのきかない口許は、ほろほろと甘い息を零し、壊れてしまいそうで怖がる身体は、必死に縁に縋りつく。
不安で、恐怖で、…でも心の片隅は、悦楽に震える。
言い表せない混沌とする感情や感覚が、次々に涙になり、流れ落ちていった。
私を揺さぶり続ける縁の手が、頬に触れる。
次から次へと落ちていく涙を、頬に触れたままの縁の親指が拭っていく。
縋る何かが欲しくて、私は、その手を両手で握り締めた。
はっ、はっ、と獣じみた呼吸を繰り返しながらも、縁は満足そうな笑みを称えた。
「射精(だ)すぞ」
この息苦しさから、逃げたかった。
私は、こくこくと頷いて見せる。
きゅんきゅんと、縁のペニスを締めつけ、射精を促していた。
縁の手が私の中心部へと伸びた。
「一緒に、な……」
縁の勝ち誇ったような笑みが、溢れる色気に塗れた。
まるで、自慰をしているかのような手つきで私を追い立てる。
奥を穿ち、起立を扱く。
「ひっ、ぁ、……ゃ、ぁんん」
爪先が丸まるほどに、身体中を甘美な刺激が駆け摺り回った。
吐き出す白濁に、目の奥で光が弾けた。
腹底に叩きつけられた熱い迸りに、失神しそうなほどの快楽が身体を駆け巡った。
身体が、満たされた。
心が、満たされた。
私全体が、幸福の中に埋もれた。
「大丈夫か?」
憂い顔の縁が、私を見やっていた。
昂りの去った身体も心も、激しい羞恥に見舞われる。
顔も身体も真っ赤に染め上げ、私は、自室へと逃げ帰った。
自室の扉に背を預け、座り込んだ。
たらりと垂れる縁に中出しされた精液。
汚れる床など、構っていられなかった。
ドキドキと高鳴る心臓。
何度か零れた縁の笑む顔が、脳内を占拠していく。
柔らかな唇の感触が、優しい指先の感触が、至る所に蘇る。
偽物の優しさでも。
嘘の愛情でも。
これが、愛されるというコトなのだろうと…思った。
私は、知ってしまった。
これが、人を好きになるコトなのだと。
身体の快楽とは違う、心が逸る感覚に、脳が追いつかない。
考えたところで、答えなどでない。
恋は、理性でするものじゃない…、本能で、求めてしまうものだから。
私は、いつの間にか、縁に惚れていた……。
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