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1.----
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-俺の話をしよう。
頭脳明晰。全国模試なんて常にトップでこれまで負けたことがない。
運動神経抜群。幼い頃からやっている剣道はもちろん、陸上から水泳まで何でもこなす。
容姿端麗。体は鍛えているし、もう数え切れないほどモデルの仕事に誘われている。
…上記から既にお分かりかと思うが、俺はモテる。それもかなり。
現にほら、教室の扉辺りでちらちらこちらを伺っている女子が数人。
「…はぁ」
うんざりだ。何回、何人断ればこのゴミの山は無くなるのか。
興味が全くないわけではないが、自分より劣る奴らと付き合う気など此方には毛頭ない。
「ひゅー、モテるね~宗吾は」
「うるせぇよ」
茶々を入れてくるクラスメートも毎度のことで。
いつものように一蹴したところで、漸く始業のチャイムが鳴った。
「起立」
担任が入ってきたことを確認し素早く号令をかける。俺は学級委員であり、生徒会長でもあるのだ。
…というより、そうでなければならない。
理由は簡単。この学校内で一番優れているのが俺であるから。当たり前だろう。
-昔から、人の上に立つのが大好きだった。
やることなすこと全てが一番でないと気が済まない性分で、よく喧嘩もしていたらしい。良くも悪くも少し本気を出せば何でも出来てしまったので、全員負かして帰ってきたのだと親から聞かされた。
中学に上がってからもそのせいか恐れられ、結局卒業まで誰一人として近寄ろうとする者はいなかった。
暫く一人きりの生活をしていた時、ふと思った。
「つまらない」 と。
誰も俺の魅力に気づかない。
誰も俺を一位の座から引きずり降ろそうとしない。
…もっと俺を際立たせろ。もっと俺に注目しろ。もっと、もっとだ。
そうして俺は、高校に入って初めて友人というものを作るようになった。とはいえ、こんなモノ仮初めでしかないのだが。
奴らはいい。
自分たちがただの道具だとは露知らず、俺を尊敬し持ち上げてさらに魅力的にしてくれる。実に良い。
だから俺は、今の状況をこの上なく気に入っている。ゴミ山以外は。
「…と、お知らせは以上。あ、反田。昼休みちょっと職員室に来てくれ」
物思いに耽っていたら朝礼が終わっていたらしい。というか、今名前呼ばれたような。
「おい聞いてたか反田」
「あー…、昼に職員室ですよね。わかりました」
答えると軽く頷いて教室を出て行く担任。
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