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進展?
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『…(何だか苦しいぞ?)』
少し息苦しさを覚えて、その苦しさから解放されたいと思い腕を前に突き…出せなかった。
『…ん?あ…れ?』
瞼も徐々に開けてきて、意識がはっきりとしてきた。
"スー" "スー"
寝息の音が聞こえる。…あ、そういえば同じベッドで寝たんだっけ?
…ムフフ、"手繋いで一緒に寝てください"なんてまるで小学生並みの甘え方だったな〜、起きたらからかってやろうかな?
…でも何でさっきから体動かないのか…な?
『…ん?…んんっ?…え?…ちょ…えっ!?』
自分の置かれている状況に100%気がついた。
何と、彼に枕の如く抱き付かれていたのだ。
だ、だから息苦しかったのか…。
『んぎぎぎっ…ちょ、離れ…ない?寝てるよね!?』
寝ているのにもかかわらず腕の力が半端なかった。
これは…寝ている時の馬鹿力ってやつか?
『…(こ、このままだと窒息死しちゃうよ!?)』
焦りながらも思考を巡らせていた。そして、咄嗟に思いついた事…それは、
『(こ…これだっ!)おーきーろーっ!!』
"ゴンッ"
『っ!?う…。』
僕の頭突きが見事にヒットした。
『いっ…て、あ、あれ………ん、……はぁっ!?』
彼は自分と目が合った瞬間状況を理解したのか起き上がり距離をとった。
『ちょ、…近っ、な、何でそんな近いんすかっ!?』
『そ、そそ、それは僕の台詞だよっ!』
"抱きついていて大変だったんだぞ!?"と最後に付け加えて言うと、昨日と同じぐらい顔を真っ赤にさせていた。
『嘘だっ…、嘘ダメっすよ!?そうだ…嘘だ、え…でも…
…いや、嘘だよな?…うんうん。』
起きたばかりの事もあり、あまり思考が回ってないようだった。
『…昨日、藍川君はぼくに"小学生並みの甘え方"をしていたんだぞ!そう、これはいわゆる"ギャップ萌え"というものだ。』
"ズビシッ!"と音が鳴るようなポーズをとりながらそう言った。
『は?昨日…あ、違うんすよ!?…俺が言ったのはその、ね、……ふ、風呂に入って酔っちゃってたんですよ!!』
お、お風呂酔い?…酔った拍子にあんな事言ったのか?
『じゃあお泊まりの件も冗談半分で言ったと?』
『…それは違います。』
それだけなんて正直な…。
『自分でもよくわかんないすけど…その、制御が効かなかったと言うか、……………昨日のことは忘れてくださいっ……。』
そう言った彼は目の前で土下座した。
『あ…、』
その姿を見た時"あの時"を思い出した。
確か僕も初めて会った時こんな感じで土下座してたな…。
『…初めて会った時の僕みたいだ。』
そんなことを言った僕に顔を上げると、彼も思い出したかのように言った。
『あ〜、そうっすね…つか、俺たちまだ会ってから少ししか経ってないのにこんな関係なんす…ね。』
何だか照れ臭そうにしていた。
"こんな関係"…か。
『藍川君が積極的すぎるから、僕も勉強教える事以外に楽しい事…増えちゃった、からな…。』
見かけによらず中身は純粋な子だし、やっぱり彼は本当に悪い子じゃなかったんだと…今は思っている。
自分は本当に流されやすいな〜と心底感じた。
『…先生って、俺の事…"友達"としか思ってないです、
よね…?』
『…え?』
どういう意味だろう…。
その言葉に頭を悩ませる。
会う日が多いのもあるから、家族に近いもの?でも飛躍しすぎたよな。
又は弟子?…それはないな。
悩ませている僕を目に彼は突然立ち上がって肩をガッと掴んできた。
『おぉっ!?』
な、何だ?さっきからかった事、怒っているのかな?
『先生…俺が今から言う事の意味考えてみてください。』
『え?あ、…うん。』
一つ深呼吸すると彼は言葉を発した。
『"自分は先生の事一度たりも友達だと思ったことはないです"。』
"グサリ"
心の矢が僕のガラスのハートを貫いた。
『…それじゃ、飯作りに下に降りますよ。』
その場から微動だにしない自分を置いて先に下に降りて行ってしまった。
『…。』
僕はその言葉の意味に散々悩まされるのだった。
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