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双葉 翡翠②
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出入口に着くと、先程より雨は強くなっていた。
「折りたたみ…なかったかな」
リュックをまさぐるがそれらしい物はない。
「俺デカいの持ってるぜ?
相合傘してあげようか〜?ひ〜ちゃ〜ん?」
「ひーちゃんとか言うな気色悪いわ!!」
鳥肌が立った、いや、まじで。
うそだよ、とゲラゲラ笑う竜馬に蹴りを入れ傘に入らせてもらう。
確かにデカイな…まだ見ぬ彼女との相合傘用か?
心の中で竜馬を哀れんでいると後ろから女子の声が聞こえた。
「たーつまっ!」
「竜馬だぁー」
2人組の女子が竜馬の横に小走りで雨水を小さく飛ばしながらついて来た。
竜馬は女子の方を向き「よお」と素っ気ない言葉で返していた。
「今帰り?ならカラオケとか行かない?」
「竜馬んちでもいーよおー?」
高校生かのような話し方と、竜馬に近づくギラギラとした爪の装飾に若干俺は引いてしまった。
「やーだ、俺は今からひーちゃんとデートなの!」
「馬鹿かお前…。」
へへっと笑った竜馬の後ろには俺を鋭い目付きで睨む女子が居た。おお、怖い怖い。
「ねぇ、ならそっちの子も一緒に遊ぼうよ。」
「さーんせーぇ」
女子達が鋭い目付きのまま俺に話を振ってきた。
怖い怖い、なんだこれ蛇に睨まれてるみたいな気分だ。
竜馬はこんな女子達と友達なのか!?
「ダメ、翡翠はお前らとは遊ばない。
俺も今日はお前らとは遊ばない、行こう翡翠。」
竜馬は俺の腰に腕を回して足早にその場から立ち去った。
「いいのか?」
竜馬の顔を覗き込んで様子を見るが特に怒ってもいないようだ。
「ん?何が?」
「いや…さっきの女子達だよ。
あんな態度取って大丈夫なのか?」
俺は女子にあんまり詳しくないから知ったような口は叩けないが俺が女だったらあれはプライドとか厳しいんじゃないのだろうか。
「平気だよあんなの、翡翠はあんな奴らと遊ぶなよ。」
水たまりの端を歩いて水を飛ばす。
傘から滑り落ちる雨が肩の上で溶ける。
6月らしい雨空は下界に傘の花を咲かせながら悠々と空を泳いでいた。
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