アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
双葉 翡翠③
-
「…。」
「……。」
竜馬がさっきありえない程真面目な顔で、まるで静かに怒ってるかのように言葉を発したものだから。
次への会話の切り口を見つけられずに、僕らは沈黙とランデヴーをきめこんでいた。
何か話題…話題はないだろうか。
悩みながら歩いていると横断歩道に気づかず、大音量の車のクラクションが響いた。
「えっ」
「ばっ…!」
竜馬に勢いよく腕を引かれ、目の前を車は横切ってゆく。
「…かやろう!!!
よく前見ろ!この馬鹿!!」
「あ…ありがと……」
そんな馬鹿馬鹿言うなよ!って言いたかったんだけれど心臓の鼓動と冷や汗が止まらなくて口に出来なかった。
「〜〜っ…はぁ…」
竜馬が俺の腕をぐいっと引いて胸の方に抱き寄せる。
……ん?
「やめてくれよ、まじで。
お前足だって遅いんだし、鈍感だし…」
「な、なんだよ…あと俺の足が遅いんじゃなくて平均が早すぎんだよ、前から言ってんだろ…。」
「…うるせーよ、今はまじで黙ってろ。」
竜馬はいっそう強く両腕に力を込めた。
少し苦しさを感じるが、右胸から伝わる竜馬の鼓動の速さから罪悪感を感じて何も言えなかった。
耳元で聞こえる震え混じりの吐息が苦しい。
「な…今日は雨酷いしさ、俺んちにしない?
ほら、なんなら泊まってってくれてもいいしさ。」
実はさっきの車の巻き上げた水しぶきが足にモロにかかって着替えたい…なんて言えない。
「…わかった、泊まるわ。
ならコンビニでパンツ買う。」
ゆっくりと離れた竜馬は1度強く翡翠を睨んで、また横に並んで歩き出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 5