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双葉 翡翠⑤
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そして家に着いて、バラエティーを見て、軽く呑んで寝た。
大学入ってからだから、一人暮らしには慣れてきたけどやっぱり人がいると楽しい。
心の奥底では寂しいという感情が拭えない。
人のベッドを占領している竜馬の鼻をつまんだ。
「ふごっ」
「そこ俺のベッドだっつってんのに…」
起きる気配のない竜馬を諦めて布団を敷いて寝た。
静かすぎたいつもの部屋に、今は他人の寝息が聞こえてくる。
うるさいはずなのに心地よかった。
その日の夜はいつも以上に眠れた気がした。
その次の日、竜馬と共に大学に行く途中。
昨日の雨が止んで辺りには水溜まりができている。
空を写すもの、壁を写すもの、様々な水溜まりが鏡面として周りを写していた。
そのひとつにフードの男の顔が写っている。
顔色は良いとは言い難い。
水溜まりの鏡面に顔が写るということは俯いているということだろう。
「ん?どうしたんだ翡翠。」
「あ、いやあそこにさ…あれ?」
先の水溜まりを指さしたがそこには誰も居ない、男の後ろにあったのであろう看板が写りこんでいる。
「なんだー?あの水溜まりがどうかしたのか?」
「いや…なんでもない、気のせいだったみたいだ。」
目を擦って前を向く。
幽霊とか信じてないけど、怖いものは怖いし、触らぬ神に祟りなしって言うしな。
「なんだよ〜目覚めのキスでも欲しいのか〜?しょうがないでちゅね〜」
「やめろ馬鹿近づくなっ」
「ほ〜ら〜」
竜馬が口をすぼめてこちらに迫ってくる。
ほんとこの手の冗談大好きだなこいつ。
バシバシと近づいてくる竜馬の肩を叩きながら笑った。
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