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十三話
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「校外学習?」
「そうそう、みんな仲良くなろうって、いう名目で行く校外学習だよ〜。まあ、こんな学校だし、サボるやつが多いけどねぇ」
結心が先程配られた、校外学習の栞を隣の席でペラペラとめくりながら、面倒だねぇと呟く。確かにと思いつつ、校外学習の栞に目を通すと、場所はここらでは結構有名なキャンプ場に一日行くという、まあ、ありきたりなプランの校外学習の内容が綴られていた。ここらでは有名なキャンプ場は星ヶ丘キャンプ場といって、緑豊かで不良が行くにはおだやかすぎる、キャンプ場だ。
「星ヶ丘・・・キャンプ場」
俺の記憶が確かなら夜は星が綺麗なキャンプ場だったはずだ。そう、俺も幼い頃父親と行ったことがある。とても楽しい思い出が詰まっているキャンプ場だった。・・・今ではもう昔の話だ。関係ないはずだった。
「どうする?サボる?」
結心が校外学習をサボるか尋ねてくる。教室でサボるか尋ねてくるのはまあ、なんというかこの幼なじみの神経の図太さを感じた。・・・本当なら俺だってサボるだろう。体力に自信などなかった。でも、
「俺は、」
そう、俺から出た言葉に結心が目を見開いたのは言うまでもなかった。
*
「あー、校外学習?面倒くさい」
「そうそう校外学習!カレー作るんだってー!九条、サボるの?」
斎藤が首を傾げている。俺はサボろうと思っていた。面倒だし・・・ふとあいつの、亜澄の顔がよぎる。あいつは参加するのだろうか?体調悪そうだし、参加しなさそうだ。そう思っていたらスマホの着信がなった。
「春日からだ」
「え、あの騒動のあともまだ連絡とれてんの」
「ああ、なんかあいつの・・・亜澄の情報くれる」
「マジかよ。すごいな・・・普通あんなに言い合いした後、普通に連絡できないっしょ・・・九条も春日もすげぇな・・・」
SNSのメッセージには「亜澄校外学習行くってさ」とだけ書いてあった。このメッセージに春日は何を考えているのかはわからない。でも亜澄は校外学習に来るらしい。
「校外学習、行く」
「え、行くの」
「亜澄が行くらしいから行く」
「・・・まじか。そんなんで決まるのね・・・九条の行動・・・いつも通りなようなそうでないような」
校外学習は来週、ゴールデンウィーク前の4月末だ。
そこで何が出来るのかは俺もわからないけど、一日だって無駄にしたくはない。こうしてるか間にも亜澄のタイムリミットは刻一刻とせまっているのだから。
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