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ほんとの気持ち
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「そうよぉ〜もうほんとぉ
かずちゃん、あっこの目の前の酔っ払いね
彼が上司の愚痴やら悩み事やらをここに言いにきてくれんだけどね
そのたんびに酔っ払ってねぇほんと
まあ、そんなかずちゃんが好きなんだけどねっ!」
店長はそう言ってしっかりしている細長い指で
彼の頬を突っついた
「んふふ〜」
「イケメン君は何か愚痴とか悩み事とかないの??
この私がなんでも聞いてあげるよ」
店長は自分の硬い胸を叩いた
酔っ払いは枝豆を全てだそうとプチプチしている
「まぁ、時々俺は何のために生きてるんだろうって思いますね、
息するのですらめんどくさい、死んでしまいたいって」
あっ、言ってしまったと思った
この柔らかい優しい空気に飲まれて
誰にも言ったことのない自分の気持ちを
こんな会って30分もたたない奴らに言ってしまった
「あっ、別にそこまでじゃなくてですね?!その...」
「何のために生きてるって自分のためじゃないの?」
「え...?」
「俺だって上司に文句ばっか言われて何がしたくて
生きてるんだろ〜って思うことあるよ
でもこれを乗り越えたらこの先に何かいいことがあるんじゃないかって
そう思って今日生きてる
自分にとってこれから楽しいこと、嬉しいことがあるから
だから俺は今日生かされる!!ってね?」
「そんなの、あなただから言えるんでしょ!
俺はモテたくもないのにこんな容姿で
男どもに人集めのために呼ばれて
会社では営業ばっかり行かされていい顔させられる
影で妬まれて愚痴られて
今でもずっとそうだ
こんなに耐えてきたのに俺は何1つ恵まれない
何も楽しいことがないんだよ」
言いたくもないのに言ってしまう自分が嫌になる
こんなこと彼らに言っても何の得にもならないと
わかっているはずなのに
口から溢れでてくる
ただの八つ当たりだ
「そりゃさ、自分で楽しいことを考えたり作ったりしない
恵まれないよ?
だって恵まれる要素がないと何も始まらないじゃん
俺はこの仕事が終わったらここにこれるとか
今日が終わったら休みがあるとか
そんなちっぽけな幸せだって糧として生きてる
たしかに容姿のこととかは俺じゃわからない
影で妬まれて愚痴られるのは辛いと思う
でもそれを逆に嬉しいことって考えてみたらどうかな?
俺は愚痴られるほどのイケメンだーってね?
少しは気が楽になると思う
だから死にたいなんて言わないで?
何か嬉しいこと楽しいことを見つけて
それのために生きようって!
それに今までたくさん頑張ってきたんだから
恵まれる要素を作ったら絶対に叶う
俺は今日仕事頑張ってきたから
今君と話せて楽しい時間を過ごせてる
だからこれも俺の生きる糧だねー
ってあはは、ごめんねぇ、こんな会ってばっかのおっさんが
知ったような口聞いてー」
彼は真っ赤な顔をしてふわふわしているが
目はしっかりと俺の目の奥にある心の部分を見て
話してくれた
俺と話すことを楽しいと言ってくれた
俺の気持ちを理解しようとしてくれた
俺の頑張りを初めて認めてくれた
生まれて初めてこんな気持ちになった
言葉では表せない、
でもすごく柔らかい暖かい気持ち
目の端が熱くなった
「そうよぉ〜、かずちゃんの言うとおりよぉ
死んじゃだめ!いいことなんて起きなくなるんだから!」
そう言って俺の前にレモンサワーを出した
「これは話してくれた君へのお礼♡
代金はこのおにーさんが払ってくれるみたいだからねぇ〜」
「ふぇ??!!
俺が出すの?!まぁいいけどねぇー!
さぁぁのむぞぉぉ!!君も一緒に飲みたまえ〜」
「はい!
あっ、でも一緒に来た人たちが...」
「あぁーそうだよなぁ
一緒に来たんだから向こうで飲みたいよなぁ
でも君と一緒に飲みたぁい!!」
そう言って彼は俺の腕に抱きついてきた
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