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片想いの時間 〜カミングアウト3〜
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「騙されたぁぁぁあぁっっ!!」
二人しかいないキャンプ場で光の怒鳴るような叫びが響いた。
「あはははははははっっ!!
腹いっってぇぇっっ!!」
黒い塊の近くに四つん這いになってうな垂れている光の傍で
俺は笑い過ぎて足がフラフラに調理場の屋根の柱に手をついた。
ライターで火を付けた時
光は本当に楽しみにして眼をキラキラしていたと思う。
声が弾んでいて満面の笑みを浮かべて帰って来たくらいだ。
罪悪感が少し…
黒い長い物が花火から出始めると
罪悪感は消えてまだ笑うなと自分に言い聞かせる
「?何あれ?火ついてんの?」
眉毛を寄せて心配しだす光に大丈夫だと肩を叩く。
「まだまだこれからだって…」
まだ笑うな…まだ…
「…何あのキモいの…煙汚…」
雲行きが怪しくなっていく光の顔…
「えっ?何??長くね?キモい!キモい!汚っっ」
「蛇だからな…」
あえて冷めた声で言ってみると
光は鳩が豆鉄砲くらったと言われる顔で口を半開きに
勢いよくこちらを見てきた。
俺がついに我慢出来ずに噴き出すと光は察して叫んだのだ。
「お前最低ーー!ふざけんなよぉ!!」
「あはははっごめん!本当ごめん!
あーっ苦しいっ息できねぇっっ」
「あんなの蛇じゃねぇよ!うんこだろ!!」
「スゴイとは言ったけど綺麗なんて言ってない!
嘘はついてないってっっあははっ止まんねぇ!」
「それを騙したって言うだよ!
オレの純粋な心を騙しやがってぇっ!」
「あはははっっお前可愛いなぁ!くくくっ」
今だに笑う俺を立ち上がった光は思いっきり肩を殴ってきた。
「なかなか買わない花火だからたまには買いたくて」
「あんなの買わないでしょ!」
殴ってくる手を止めさせ近くのベンチに腰を下ろした。
光はまだブツブツ言いながらも隣に座ってくる。
光からしたらイジメだと思ったか?
俺からしたら楽しみたい一つだった。
あの日からどこか遠慮気味の光が意識し始めた俺にはどこか寂しさがあった。
「キャンプ終わったら花火大会行こう?」
「花火大会って祭りの?」
「そうそう、んで俺ん家泊まってオールしよう」
「泊まり…」
「何?泊まりまずい?お前来たことないだろ?」
来たことないに決まってる。
自分の家に上がらせるなんて意識してる奴になんかにしたら緊張する。
何を話す?何をする?
何より帰られた後、居た痕跡を探してしまう…
でもやっぱり今の反応を見ると喜ぶ驚きが見たくなって
その時に考えればいいかと目先の欲が勝ってしまった。
「いや…オレなんやかんや拓也の事知らなかったなぁって」
「家に来たことないだけだろ?」
「まぁね?でもなんか…」
「何?一番乗りしたかったってヤキモチか?」
からかう気持ちで乱暴に頭を撫でると抵抗もしないで呟いた。
「そうかもしれない」
まさかの言葉だ。
声のトーンからしてマジだと分かる。
「キモい?本人にキモいなんて言えないと思うけどさ」
「…キモくはないよ…」
正直、物凄く嬉しい
でも光の考えと俺の考えは全く違うのを知ってるから言えない。
俺が考える意味での嫉妬だったらどんなに嬉しいことだろう
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