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両想いの時間 〜最初の一歩7〜
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しばらくすると拓也が背中を優しく撫で始めてくれた
時々ぽん、ぽんと優しく叩いて落ち着かせてくれようとしてるみたいに
「拓……」
「ん?満足したか?」
「ん…ありがとう…」
身体を離し顔上げると間近に拓也の顔があって今更恥ずかしくなった。
対面で膝に乗っかた自分はガッツいてたのが恥ずかしい。
涙ぐしょぐしょで目は腫れてるし汚い顔のはずなのに拓也は目をそらさないで拭ってくれた。
「目冷やしとけ
救急箱と着替え持ってきてやるから」
落ちた氷の袋を拾うと腫れる眼に当ててくれた。
「あ…うん」
いとも簡単に持ち上げられソファーに降ろされるのが
さっきまでくっつけるだけくっつかせてもらってたせいで名残りおしく寂しい。
「大丈夫だよ直ぐ戻るから」
一部屋しかない部屋から服を取りに行くなんて離れるとは言わないほどの距離なのに
拓也は悟ってくれたみたいでオレの顔撫でてから席を立った。
服が入っている衣装ケースの前にしゃがむ拓也の背中が凄く恋しい
ひと時も離れたくないって
ただの歌詞や小説の言葉遊びだと思っていたのに
「着替えられるか?」
頷いて服を受け取った。
話をした後でも、腕を見られた後でもやっぱり脱ぐにはまだ抵抗があったせいで拓也に隠れて脱いだ。
気持ち悪くないかな…
傷だらけの汚い身体にはやっぱりまだ抵抗があった。
前に借りた時とは感覚が違う。
オレよりも大きなシャツに袖を通してホッとする。
服からただよう
家の面影も暴力された跡も消えた…
着替え終わると拓也がソファーに戻っていて手当ての用意をしてくれていた。
隣りの席に戻る
「腕…出しな?」
頷くだけで腕を差し出すと
火傷の痕に優しく軟膏を塗ってガーゼを当てられテープを貼られる…
治らない痕なのは一目瞭然なのに手当てをしてくれる優しさに心が解れる。
「傷開いちゃってるから滲みるからな?
ちょっと我慢して」
「うん」
あまりの会いたいさに幻聴を聞いてしまったのかもしれない
興奮して熱烈な事を言った自分は曖昧にしか覚えていないせいで
優しく触る手に本当に自分と同じ思いでいたのかいまだに信じられない。
男同士でなんて有り得るはずがないから…
頬の傷に消毒液がかかるとチリっと熱い痛みが走った。
痛みは全部一緒だと思っていたのに鮮明に感じる痛みが心地いいのは初めてだった。
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