アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
恋人の時間〜一緒の空間3〜
-
自然と目が覚めた。
ツキンッと痛む目元で昨日のことを思い出した。
でも、不思議と怖さもダルみもなくてゆっくり起き上がれた。
とても優しい匂いに包まれててフラッシュバックの悪夢なんてみやしなかった。
静まりかえってる部屋でも寂しくなくてどこか温かい。
机を見ると"すぐ帰る"のメモと
ラップに包まれているオニギリが置いてあった。
オニギリを包むラップには"食え!"とマジックで書かれていた。
すぐ帰る
その一言の文字が拓也の字で嬉しい
馬鹿みたいにそのメモを大事に握って
初めて感じる穏やかな気持ちの朝に風を感じたくてベランダに出た。
まだ暑い風がふいている。
外が眩しくてキラキラして綺麗に見えた。
汗が出てくる身体が気持ち良くさえ感じた。
日差しを避ける為に一歩下がって部屋に戻ったものの
ベランダに足を出して床に座った。
少しヒリヒリした足。
生きてる…
うん…足の裏暑いや…
まだまだ強い日差しのせいでベランダの床は暑く火傷してしまうほどだった。
でも今はその痛みをしっかり意識して感じた。
実感が欲しかったわけじゃない
ただ自分が空っぽだったんだと分かった。
手を伸ばしてオニギリを取るとラップを半分剥がしてパクついた。
微かにする塩味
何も入ってない
ただの握られたご飯
涙が出た…
自分の為だけの物を
好きな人は何を思って握ってくれたんだろう
それだけで歓喜気回る
美味しくて勿体なくてチマチマ摘むように食べた。
手元にある拓也の書いたメモをジッと見つめるだけど微笑んでしまう
すぐ帰る…なんか…うん
こそばゆいなぁ…
時計に目を向けると
二時限目がそろそろ終わる頃
拓也はちゃんといつも通りに友達と学校をおくれてるだろうか
寝不足は申し訳ないけど
少しは気を紛らわせて笑っていてくれたらいいなと思う。
拓也に借りた白いTシャツが太陽に反射して眩しい
外の色々な音が鮮明に聞こえる
今だに遠くで蝉の鳴く声がしている
何もかもが今までと違って見える。
綺麗に鮮明に見えて聞こえる。
生まれ変わったみたいだ。
「ただいま」
幸せ満喫を噛み締めていたオレは
まさか…と一瞬息が止まった。
振り返ると玄関で靴を脱ぐ為に玄関で腰を下ろしてる後ろ姿の拓也がいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 44