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恋人の時間 ~一緒の空間4~
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迎える言葉も言えずにその行動を見入っていると
靴を脱いだ拓也が立ち上がり振り返って部屋に入ってくる。
「ただいま、光」
優しく笑った拓也に顔が熱くなる。
「あ……おかえりなさい」
「…泣いてたの?」
その顔が一瞬で眉を寄せて歪んだ。
慌てて違うと叫んだ。
「違う!違う!
拓也の…オニギリが…その、嬉しくて…
嬉し泣き…ってやつ」
「なんだそりゃ」
「早退してきたの?」
「いても頭にはいんないし
気になったから帰って来た
クーラーつけろよ…あちぃ…」
鞄を置いた拓也が俺の隣にゆっくり座りクーラーのリモコンを手にする。
二人でベランダ前に座って
外を眺めるだけなのに恥ずかしくて緊張する
「開いてるのにクーラー勿体ない」
「まだ、こうしてたいんだろ?」
「ありがとう…」
拓也はオレの頭を軽く叩くとそのまま後ろに倒れて腕を枕に床に寝転んだ。
拓也がしばらく空を見上げていた顔をこちらに向ける。
「まだ痛むか?」
「腫れてるだけで痛みもだいぶマシになったよ」
「熱は?」
「計ってないけどダルくない」
もそもそ食べ途中だったオニギリを食べ始める。
「夜は賄いばっか食べてるから冷蔵庫空なんだよ
何もなくてわりぃな」
ゆっくり食べてるオレを美味しくなくて食べるのが遅いんだと思っているのかもしれない。
味気ないだろと言う拓也が渡すように手を伸ばしてくる。
「ううん
すごく美味しい…
自分の為に作ってくれた物だから大事に食べたいんだ
だからゆっくり食べてるだけ」
「……」
「何?」
「お前のそう言う素直に言ってくるとこ…」
「うん…」
「いろいろ考えさせられるな」
「うん?意味分からん」
「分かってくよ
今日から当たり前の日になってくから」
拓也がちょいちょいと手招きをする。
拓也の手招きした腕と身体の間に寝転んで食べながら天井を見上げる。
クーラーが冷えない部屋を一生懸命涼しくしようとする音
外より涼しい部屋と足元は外気で暑くて変な感じだ。
「お前飯どうしてたの?」
「バイトしてからオレも賄い食ってたし
そこそこ料理してたよ?
父親は夜まで帰らないし母親は空気なだけで何も言わなかったから…」
「そうか…」
「ん…」
「それ食ったらさ…行きたいとこがある」
拓也が頭を撫でてくるもんだから
買い出しに出るのかと思っていた。
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