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第1章
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ビーッ、ビーッ、と耳障りな音を立てて目覚まし時計が鳴り響く。忌々しい、朝がやって来た。
チッ、と一つ舌打ちをして目覚ましを止めて起き上がる。
「お早う、クソッタレな世界。」
父さんと母さんはここには居ない、この部屋は俺の貸切だ。
中学生位からこの状態だったと思う。両親は仕事仕事、俺には金だけ与えて、自分のことは全て自分自身でこなすよう言われて来た。
でも、慣れてしまえば案外悪くない。俺を束縛する物もないし、金は困らない程ある。…腐った人間関係に気を遣う必要も無いし。
目覚ましにコーヒーを用意して、ふと、カレンダーを見ては今日がなんの日か思い出す。
「忌々しいことは続くんだな。」
苦いコーヒーを一口飲んでは、べ、とカレンダーに向かって舌を出してみる。
先程から携帯の通知が煩い、今日という忌々しい日のせいだ。
「なにが誕生日おめでとうだ、心にも無い事を」
通知欄を一瞥しては、即座に通知を切り、ソファに腰掛け、ニュースを見ながらコーヒーを飲む。
テレビは今日もつまらないニュースばかり垂れ流している。やれ汚職だの、やれ暴動だの、つまらない。つまらないつまらないつまらない。
第2の性など、忌々しいだけ。俺は誰とも番たくない。運命の番など居はしない。Ωがαに惹かれるのは動物の生存本能によるもので、当人達の恋心なんて関係ない。
ロマンチックな恋?運命の番?
はっ、笑わせる。そんなものなど、ただの夢物語だ。
俺には縁もゆかりも無い話だ。
コーヒーを飲み終えては身支度を整え、玄関に立つ。
「…行ってきます。」
ボソッ、と言っては靴を履いてドアを開け、今日もこのクソッタレな世界へ足を踏み出す。
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