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第2章
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この時期にしては少し暑い位の太陽が照りつける道を歩いて行く。
高校までは、おおよそ15分、と言ったところか。
少し先にクラスメイトのアルファを見つけては、それまで無表情だった顔を無理矢理、微笑ませる。
「おっ、裕也じゃん!おはよ〜!」
彼がこちらを向いては俺に気付き、手を振りながら近付いて来る。
「やぁ、千景。お早う。」
この男は、有名な家具メーカーの子息だが、五十嵐財閥には敵わない。俺がコイツを傍に置いているのは、コイツに利用価値があるからだ。
コイツは俺の傍に居ることで、俺が振ったベータやオメガを慰める振りをして喰らう、まるでハイエナのような男だ。
そのお陰でベータやオメガ達が、俺への気持ちを忘れてくれる。俺はそれを利用してる。
所謂、win-winな関係ってやつだな。
と、千景がいきなり
「あ、そうだ、今日、裕也の誕生日じゃん!誕生日、おめでと」
と、言い、笑った。
「ありがとう千景。」
忌々しい言葉に危うく笑みを崩しそうになったが、変わらない王子様スマイルで応えた。
彼と他愛もない会話をしながら歩いて行くと直ぐに学校へ着いた。
誰もかれも俺の姿を一目見るや否や
「きゃ〜!五十嵐先輩!お早うございます!誕生日おめでとうございます!」
あぁ、忌々しい。
今すぐにでもその口を塞いで仕舞いたい…
「ふふっ、ありがとう皆。」
心の内でそう思いながらも、笑みを崩さずに礼を述べてみせる。
…早く、今日という日が終わればいいのに。
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