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ルカは尖った牙を見せて、残酷な笑みを浮かべる。
ニアとルカがどういう仲なのかは分からないけれど、口振りからしてあまりよくはなさそうだ。
「ニアを選ぶなんてお前も見る目がないよなぁ? あいつとはたまに会うんだが、いつもオメガの匂いをまとわりつかせてるぜ。まあ、アルファの番は別に1人っていう制約もないし? ニアも相当遊んでるんだな」
ーーニアが……他のオメガを……?
その先は考えたくもなかった。蒼白している実晴に、ルカは甘い誘惑を吹き込んだ。
「なあ、帰って来いよ。実晴。親父には俺が上手く取り成してやるから」
ニアと番うこと以外の未来は何もないと信じていた実晴は、しばらく雑踏の中に立ち尽くしていた。
× × ×
それから自分がどうやって家に帰ったのかも分からない。
ただいつも通りに2人分の夕食をつくり、疲れたニアを出迎える準備をした。
今日に限ってニアの帰りが遅く、実晴は目眩がするほどの不安に襲われる。
人間である実晴は肌についた残り香までは、正確に嗅ぎ分けられない。
しかし、実晴が信じているのは間違いなくニアだ。
ーールカの嘘に惑わされてる自分が、1番最低だ……。
否定しようにも出来ないのだ。
自分の他にオメガを囲っていたとしても、ニアに直接聞いて確かめない限りは分からない。
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