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ニアはにこにことよそ行きの顔をしたまま、ルカの問いには正確に返さなかった。
「ペットなんて俺は飼っている覚えはないけどな。……今日話しておきたいのは、実晴を侮辱したことについてだ」
「……はっ。侮辱だと? オメガの扱いなんてそういうもんだろ。オメガが手厚く保護されたのは昔の話だ」
人口が少なかった当初は、子を成せる女性やオメガは丁重に扱われてきた。
けれど、時代が移り変わるにつれ、繁殖能力の需要はなくなっていき、他の性を手当たり次第に誘惑するものとしか見られなくなった。
「それとも、譲葉製薬の話のほうがいいかな」
ニアがその単語を口にした途端、ルカの様子が一変する。
黒い縦長の瞳孔を丸くさせて、髪と尻尾の毛を逆立てさせた。
威嚇とも危機回避とも取れる反応だ。
「君は細かな匂いまでは嗅ぎ分けられないみたいだね。宝条と繋がりのあるネコも、君の周りにいるのかもしれないよ」
「……何が言いたい?」
「日頃の行いには気をつけたほうがいい。俺の周りに何人か譲葉のネコを寄越しているようだから、利用させてもらったよ。お友達のソマリやトイガー、大学教授のベンガルとは、仲良くしてるのかな……」
苦めのラテを口に含みながら、ルカとつるんでいるネコ科獣人についてすらすらと語る。
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