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ニアのように、わずかな接触だけでは対象の匂いを嗅ぎとれないルカは、小さく「くそ」と吐き捨てた。
「目的は金か? そっちのオメガに頭でも下げれば満足か?」
「まだ話は終わってないよ。もう1つは発情促進剤についてだ」
ニアは数枚の写真をテーブルの上に拡げて並べる。
写真にはルカと小柄な人影が写っており、手には実晴もよく知るペンタイプの薬が握られていた。
「大学生の遊びにしては随分派手なようだけど。こっちの抑制剤は譲葉製薬の廃棄ロットのものだね」
宝条の息のかかったネコ達の情報網により、ルカの行動は筒抜けだった。
見覚えのある抑制剤に、実晴は「あ……」と漏らした。
「これ……僕が使ってた抑制剤だ」
やけに効果が薄く副作用の強い抑制剤が、こうして出回っていた事実に実晴は目眩を覚える。
言い逃れの出来ない物証に、ルカは怒りを込めた拳を打ちつけた。
そうやって怒りを吐き出したいのは実晴だって同じだ。
冷静でいられるのは、隣にニアがいて手を握ってくれているからだった。
「まあ……その頭じゃあまり深いことは考えていないから……お小遣い欲しさに、実家の研究室から薬をくすねてきたところだろうね」
ルカの通っている大学の卒業生であるニアは首席で卒業しており、宝条家の跡取りとしても有名で名前を知らない者はいなかった。
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