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ルカが途中で言葉を切ったのは、ニアがごろごろと喉を鳴らしていたからだ。
人間の実晴には聞こえない周波のそれに、ルカは再び全身の毛を逆立てた。
敵意と怯えが入り交じった獣特有の反応を、ニアは余裕の表情で迎える。
闘争本能を隠せない獣人は、まだまだ未熟者だという証拠なのだ。
「……僕だって、性を選べるのならニアと同じアルファに生まれたかった。でも、オメガに生まれたおかげで……ニアに運命だと言ってもらえた」
第2の性がオメガだと判明したときから、きっと月並みには生きられないのだと悟った。
生きる意味を見失った実晴を、ニアは運命だと言って抱き締めてくれた。
ーーニアの隣で生きられるのなら、生きていいのなら、僕はオメガがいい。
「ふん……。せいぜい運命とやらに浸ってろよ。あんたももったいねぇよなぁ……オメガなんかに執着して」
「君も運命の相手に出会えば考え方が変わるかもね」
「運命の相手か……匂いによれば、まだそいつとは番じゃねぇみたいだな。あのとき噛み損なったのを今、心底後悔してるぜ。先にお手つきにして、あんたの悔しがる顔が見たかった。オメガを噛むのがアルファの本能だから、そうなったとしても仕方ねぇよなぁ!?」
ニアと出会う前に、ルカに噛まれる……たとえ不本意だとしても、オメガの一存で番を解消することは出来ない。
抑制剤を服用していても漏れ出る実晴のフェロモンに、ルカは舌舐めずりをした。
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