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「あ、お腹減ってるだろ。食べられそうなやつ持ってきてやるから、じっとしてろよ」
自分の部屋を出ていった春樹は、平たい皿と牛乳パックを手に持って帰ってきた。
ミルクが注がれると、ニアは無我夢中でそれを舌で掬いとって飲んだ。
ミルクの隣に銀色に光る缶が置かれる。
くんくんと鼻先を近づけて食べられそうなものだと理解する。
一口食べるとお魚の味がした。
「旨いだろ、ツナ缶。たくさん食べていいからな」
ご飯を食べた後は、春樹のベッドで一緒に眠った。
朝起きる時間はニアのほうが早いため、まだ夢の中にいる春樹の顔を舐めて起こすのが、毎朝のニアの仕事だ。
春樹は生まれたときから病弱で、皆と同じように毎日小学校には登校していなかった。
春樹に抱いてもらっているとき、心臓の拍動がやけに弱いと感じることがある。
「俺……心臓の手術を受けたい、って親に話したら反対されたんだよ。成功するかどうかは半々で、無理をしなきゃ生きられるんだけどさ」
春樹は誰にも言えない弱音を、ニアにだけこっそりと吐露する。
「俺だって皆と一緒に学校も毎日行きたいし、遊びたい」
ニアは春樹の親でもないし医者でもないから、何もしてあげられない。
春樹の隣に1番長くいて、手や顔を舐めて慰めることしか出来ない。
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