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それでも折れない春樹は、ママの言いつけを無視して外へ出ていってしまう。
ーー春樹、ダメだよ……ママと仲直りしなきゃ。
ニアは春樹の部屋の窓から裏庭へと下りて、春樹の後を追いかける。
追いつくまで後少しというところだった。
真横から鉄の塊が飛んできて、肋骨が砕けて内臓がぐちゃぐちゃに混ざる。
アスファルトの上を数十メートル跳躍して、ごろごろと転がってやっとぴたりと止まった。
悲鳴をあげるたくさんの人の輪を抜けて、春樹はニアの身体を抱いた。
服がニアから流れる血で真っ赤に染まっても気にせずに、春樹はお医者さんのところへ連れていってくれた。
帰り道、何故か春樹はずっと泣いていた。
お医者さんに処置してもらって血も止まったし痛みも消えたのに、手足は動かせない。
ーー泣かないで、春樹。春樹が泣いているとニアも悲しい。
しょっぱい味の雨が降ってきて、ニアは舌を出してそれを受け止める。
少し身体が怠く眠くなってきたから、目を閉じようとしたときだった。
「う……あ、あ……」
春樹が胸を押さえながら、膝から崩れ落ちる。
すぐ側にある心臓の音がおかしい。聞こえなくなっていくのだ。
ーー春樹! どうしたの? 返事をして!
呼気が薄く、徐々に弱くなっていく。
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