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ニアといっしょ 新婚生活編
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テーブルに置いた手を、上からぎゅっと握り込まれる。
ニアの言葉に嘘はない。
互いに愛し合っているとはいえど、急に近づかれたりすると驚いて身体を引いてしまう。
こんなにも優しく接してくれるニアに対して、自分はいつまでもこんな風で変われないのが歯痒い。
「手のかかる子でごめんなさい」
申し訳なさそうに視線を落とすと、「そういうところかな」とニアが呟く。
「君だからいいんだよ。実晴はもっと我儘に振る舞うべきだ」
「……今日お出かけしようって言った」
「……え? もしかしてだけど実晴……それが我儘?」
「だって、僕が一人で外に出られないから。ニアに付き添ってもらうつもりで……言ったので」
くす、とちょっと呆れたような笑い声を漏らす。
──人間は……弱いから。爪と牙が怖い。生まれが違うニアには、分からないだろうけれど。
「うん。その調子。実晴のお願いごとは何でも聞くつもりだから、ね」
「じゃあ、子供が欲しい。ニアと僕の」
「……それはもう少し先で」
「もう少しってどのくらい先?」
ニアは質問から逃れるように、食べた後の皿を流し台へ持っていく。
実晴の分のコーヒーも、新しいのを注いで戻ってきた。
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