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ケース4:後輩(見た目可愛いけど名前とか男らしい)
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可愛い後輩だったらやっぱり女の子がいい。
実際地元の中学から入学してきた後輩に可愛い女の子もいる。
おっぱいは小さいけどふわっとした感じの癒し系。
明るくて元気でちょっと遠慮のないノリのいい元気系。
高校デビューかと聞きたくなったほどスカート短くてけばくなったギャル系。
皆良い子で、いつも会えば笑顔で挨拶してくれる、もうマジ可愛い。
誰か俺を憧れてくれてたりしないか、そう願った時もあった。
実際は彰嗣に片思いだったり、森光にアピろうか悩んでたり、丹下に頬を赤らめたり…
何なんだよ皆、俺は何だ橋渡しすればいいのか、しないけど。
本当に世の中は不公平だ。
「あー…スカート短か、見えないかな」
「やめろって殴られんぞ」
五木が顔面殴られてた、と森光に言われて慌てて座りなおした。
ここは階段で、ちょっと覗けば女子のおみ足が拝めるベストスポットだ。
時々女子に声をかけられてる森光は少し笑うだけで女子が頬を染める、何故だ。
「お前のそういうとこがモテないのよ、わかる?」
「そういうとこって」
「間抜けな顔を堂々とさらすスケベ具合」
「男はみんなスケベだろ」
「…まぁ、ムッツリよりはいいけど」
開き直るなっての、と俺の肩を殴る森光、痛くない。
この優しさがムカつく、女だったら惚れる。
男だからムカつくだけだけど。
「あ、何だっけお前の後輩だ」
「え?みっちゃん?ひなちゃん?まりあ??」
「全部女とか…お前は、」
心底呆れる森光なんて知らん。
イケメンより可愛い女の子だ。
男だ当たり前だろう。
「あー!杉田せんぱーい!!」
さぁ誰だ?と作った笑顔が固まった。
ぶんぶんと手を振ってる相手。
めっちゃいい笑顔だ。
いや、可愛い笑顔だよ、うん。
俺よりも小柄で可愛い顔してる。
でもさ、それでもさ。
「…お前かよ、朔太郎」
れっきとした男だ、残念。
テンション下がるわ。
朔太郎は超笑顔だけど。
「先輩、何かちょっと久しぶりじゃないっすか?」
「そうだな、俺は別に会いたかったわけじゃないけど」
「酷いっすよー俺めっちゃ先輩に会いたかったのに、美智佳たちに先輩に会ったって自慢されてムカついたし」
「ひなちゃんたちそんなこと言ってくれてんの」
「はい、森光先輩に挨拶したとか村地先輩かっこよかったとかよく言ってますよ」
可愛いなぁもうって思ってたのに今の一言で台無しだ。
そうですよね、あの子たちも所詮はイケメン大好きだよね。
女の子だもんねそうだよね…凹むわ。
「俺は、杉田先輩に会いたかった」
えへへ、と笑う顔は可愛い。
ちょっと背の高い女の子くらいの身長。
まだ子供っぽい、中世的な顔。
私服だとボーイッシュな女の子に見えてしまう。
でも名前は朔太郎、男らしい。
よく女の子たちには朔って呼ばれてるけど。
昔から先輩に可愛がられるこの後輩は、女子の先輩受けが特にいい。
ちょっかい出されては反応して可愛い~と愛でられる。
こいつこそ愛されキャラだ。
「先輩?」
思わず上から下まで、じっくりと見てしまった。
きょとんとしてる顔さえ可愛らしい。
通り過ぎる女子が森光と朔太郎のセットにきゃっきゃしてる。
「ホント、お前って可愛いのな」
苦笑いと一緒に吐いた言葉は率直な感想だ。
屈託のない笑顔で駆け寄って来て会いたかったですよとか。
男とか女とかそんなのは別にして後輩にそんなことされたら可愛いだろ普通。
そう考えるとこの後輩も可愛い後輩なんだよな。
なんてことを考えて笑うと、朔太郎は顔を一気に真っ赤に染めた。
照れたのだろうか。
「先輩ぃ…いきなりどうしたんですかぁ?」
「ん?」
両頬を自分の手で隠すように覆って、上目で見上げる顔。
若干目が潤んでる、何だおい。
「そんなこと、今まで言ったことなかったじゃないですか…不意打ち」
「はぁ?不意打ちって…思ったこと言っただけだろ?」
「それが不意打ちだし…他意はないってわかってても意識しちゃうって」
ずるいよ、と呟く朔太郎、完全に顔を俯かせてしまう。
耳真っ赤、顔も赤いのかな。
階段の段差のお陰でちょっと覗き込めば顔は目の前だ。
朔太郎は目を丸くして困ったように眉を寄せてる。
それがちょっと可笑しくて笑ってしまう。
「…先輩のが可愛いし」
「へ?」
小さい声が降って来た。
間抜けな声を上げる俺。
両肩に手が乗る感触。
視界が翳った。
横から森光のあ、って声がして。
鼻の頭に柔らかい感触。
時が止まった気がした。
ここは階段でいろんな人がいて。
隣には森光がいて。
「俺だって男なんですから」
そう言って階段を駆け下りていく後姿。
呆然とする俺、森光。
周りから突然巻き起こる騒音。
そこで我に返る俺たち。
慌てて階段を駆け上がり教室へ戻る。
丹下が不審物を見るような目で俺たちを見てる。
森光はそのまま自分の席に戻ってしまった。
俺も何も言わず自分の席へ戻る。
後から教室に戻ってきた女子が騒いでる。
丹下がぎょっとして俺を振り返ったので顔を伏せた。
何だ、女の子ばっか求めた俺に罰が当たったのか。
モテたいって思うのもいけないのか。
「俺だって男だよ、朔太郎…」
ちょっと泣きたい気持ちになった。
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