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どうやらチャラ男がご乱心です。 これじゃ俺、友達いなくなる(´・ω・`)その1
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久しぶりに彰嗣と登校した。
相変わらず俺の手を握って離さないは、隙あらばキスしようとするは、電車の中でケツ揉むは髪の匂いかぐは…駅員に突き出せばよかった。
朝からもうへとへとである。
教室に入って、友達との挨拶もそこそこに机に突っ伏す。
「どうしたよ、朝から瀕死じゃん」
「森光…」
「反対に村地氏はウザいほどにテンション高そうでしたよ」
隣のクラスが大変賑やかでした、と後から来た丹下が抑揚のない声で言う。
朝が弱い丹下だからこそのこの無感情さである。
おはよう、と挨拶する森光も大概無感情だけど。
人形みたいな奴らだ、不気味。
「何、お前村地と一緒に来たの?」
「…朝起きたらうちに上がり込んでた…親父が鍵渡すから」
息苦しくて目が覚めたが体が動かなくてビビってたら彰嗣が布団ごと俺を抱き込んでたという…
まぁ蹴ったよね、複数回。
マジで何考えてるの、殺すぞ。
親父も親父で心配なのはわかるけど何でよりによって彰嗣に合鍵を持たせる。
せめでおばさんに渡すべきだと思う。
「取り上げろ、鍵」
「何度か試みた」
森光の命令口調に俺は弱弱しく返す、できたらとっくにしています。
取り上げられなかったんだよ…とうなだれる、思い出しても辛い。
不思議そうに小首を傾げる丹下がちょっと可愛く見える、ムカつく。
「あいつ、鍵をさ…首に下げてるんだ」
「首?」
「ネックレスみたくってことか」
「…肌身離さずってやつなんだよ、まさしくさ」
風呂でも外さないんだ…そう呟いた俺を酷く痛ましそうに見る丹下。
珍しく俺の頭を撫でて慰める、女子煩いざわつくな。
「脱がせてむしりとればいいんだろう?ちょっとやって来る」
「え、森光!?待て待て待て!!」
静止したがさっさと廊下へ出て行ってしまう森光。
追いかければよかったのかもだけど森光の顔が恐くて近寄りたくなかった。
そして鍵が返ってきたらいいなとかちょっと考えた俺最低か。
それより何だよ森光の奴、すげー怒ってね?
穏やかではないですね、と呟く丹下の言葉に俺も頷いた。
***
不機嫌な顔で森光が戻って来たのは何故か三限が始まる寸前だった。
ブスくれた顔で乱暴に椅子を引いて浅く椅子に腰かけた。
いつもの柔和な森光とは明らかに違うことは明白だ。
いつもなら蕩けるような顔で森光を見てる女子も怯えている。
どうしたのか訊ねたいところだがすぐに授業が始まってしまいそれはできなかった。
結局昼まで話すことはなかった。
「森光氏、如何した」
「何が?」
「女子にさえも不機嫌丸出しな顔をして、森光氏らしくありませんぞ」
「…別に」
「何ですか、エリカsふべらっ!!?」
珍しほどに不機嫌で暴力的だ。
丹下にエロ本(クラスに置き去りになってたやつ)を投げつけるとか。
三次元に興味のない丹下には汚い雑誌を顔面投げつけられる痛みと不快感しかないだろうけど。
「ちょっとこれ、カピカピなんですけど…誰の子供たちですか、汚い」
「うわばっちぃ、丹下こっち来んな」
「頬ずりしてあげますよ、さぁ杉田氏こっちにいらっしゃい」
「嫌だわ!お前の頬ずりも誰かのセーシも…考えただけで戦慄だっつの!!」
「そうだぞ、真智の可愛いお顔に頬ずりするのもぶっかけるのも俺だkッ!!?」
「愛花ーーーーッ!!!??」
どこから湧いてきた、彰嗣よ。
丹下のにやりとした笑みと手招きに後ずさったら、彰嗣が後ろから覆いかぶさって来た。
相変わらずの変態、教室の真ん中でそういうことを言うのはやめていただきたい。
そしてそんな変態の頬を掠る薄い本…丹下が悲鳴を上げている、お前のか。
彰嗣の頬にはうっすらと血が滲んでいる、本が掠った時に切れたんだな。
本の飛んできた方を見ると森光がいつものようにパックジュースのストローを噛みながら座っていて。
片足を抱えているのがいつもよりちょっと威圧的で、ちょっと病んでるっぽい。
「…ムカつくんだよな」
ぼそり、と呟いた。
実に低くて、それでいて感情のない声だった。
噛んでるストローがボロボロ。
ガチガチと歯が合わさる音が聞こえる。
「村地ってさ、何でそんなにさも杉田を自分のものみたいに扱うわけ?ただの幼馴染だろ?付き合い長いだけで俺らと立場は変わんないじゃん」
「…も、森光?」
「杉田も杉田だよな、村地に甘いって言うか、そもそも押しに弱いって言うか…そんなんだから村地にも金獅子にも担任にも後輩にもつけこまれんだろ…本当にムカつく」
「…どうしたんだ、こいつ」
後ろから聞こえる彰嗣の声が怯えを含んでいる。
こんな森光見たことない。
ぶつぶつと呟きながらストローをガチガチ噛み続けるし。
でもこっち見てるわけじゃなくて、どこ見てるんだ?わからない。
狂気を感じるのは気のせいだろうか。
「…ヤンデレ入ってますね…いや、DV?」
「猟奇的なチャラ男だな」
「つか、お前何かしただろ…朝お前のところ行ってから可笑しいんだよ」
「え、朝?…あぁ、鍵のこと?無理矢理脱がそうとするから吃驚した。本当に森光って強引だよねーでも渡しませんってきっぱり断ったから安心して!森光とはいえ真智の家にいつでも入れる状況なんて絶対嫌、本当なら俺以外誰にも会わせたくないのにさぁ…想像しただけで森光殺したくなる、もしくは真智を監禁」
「…ヤンデレは村地氏ですね」
「すごく嫌だ」
爽やかに笑いながら病み発言する彰嗣やばい、俺も丹下もドン引き。
こそこそと三人で話していると、がんっ!と激しい音がして、俺の横っ腹に衝撃。
思い切り机が横腹に当たった、激痛で辛うじて出るのは呻きだけという…辛い、痛い。
抱えていたはずの片足が投げ出されてる、森光が机を蹴り飛ばしたのは明白だ。
何するんだよ、と声を上げる前に森光は立ち上がって。
机にダンッ!と手を叩きつける音に誰も声を発することができない。
静かに悶える俺を挟んで森光が彰嗣の胸倉を掴んでる。
微かに彰嗣が息を飲む音が聞こえる、狭いし痛いし何よりこの構図辛い。
「俺を殺したくなる?それはこっちのセリフだっつーの…合鍵なんてこれ見よがしに見せつけやがって、お前なんかが何で杉田の家に自由に出入りできるんだよ、可笑しいだろ?一番信用できないくせによぉ…お前こそ死ねばいいのに」
「…本性出たね、森光」
胸倉を掴まれてる彰嗣は何でか動揺した様子もなく森光を睨み返してる。
え、ちょ…マジ恐いこの二人やだ俺挟まれてるんだからやめてよ。
俺を間から出してからしてよマジで気まずいわ。
「ちょ、ど…どうした、お前ら…らしくないぞ?」
「らしくない?俺らしいって何だ?友達面してろって?女に愛想よくしてりゃいいって?…もう限界だっつーの」
気づいちゃったし
森光はそう言った。
え?と思った時には遅かった。
ばっと彰嗣を突き飛ばしたかと思ったら。
今度は俺の胸倉掴まれて上を向かされて。
目の前に森光の顔、それから。
ギャアアァアァァァァッ!!!!!??
クラス内がカオスに包まれた。
女子が、男子が、皆が。
固唾を飲んで見ていたであろう結末がこれか。
思い切り押し当てられた唇がしっとりと柔らかかった、何だろ辛い。
森光の顔が離れると視界の端に丹下がぽかん、と口を開けているのが見える。
彰嗣が森光を引きはがそうと必死だ。
そんな彰嗣に蹴りを一発、どんだけ暴力的なの森光さん恐い。
俺を抱き込んだかと思うと、森光は耳元で言う。
「俺も、お前のこと好きだわ」
突然すぎる変化についていけない。
そもそもお前、俺に彼女できるように協力してくれてたんじゃ…
「可愛すぎるお前が悪い」
いつも通りの森光に戻っているのは有難いが、若干甘さを含む言葉が恐い。
そんなわけだから杉田のうちの鍵をよこせ、と彰嗣に言ってる森光。
激昂してる彰嗣にちぎった消しゴム投げてる、小学生か。
「…何か、本当に主人公補正かかってません?完璧総愛されキャラじゃないですか」
「いやね、俺は女の子にモテたいのよ…」
「それは…無理じゃないですか、ねぇ」
周囲を見回して言う丹下、俺もつられて周りを見れば奇異な目で見る女子、憎々しげに見る女子、鼻息荒い女子…腐女子ですね、わかります。
男子も気持ち悪そうに見る奴もいれば面白そうに見る奴、ちょっと羨ましそうな奴…うん、森光の人気がわかったわ。
「俺、もう絶対彼女できない気がする」
「彼氏作ればいいじゃないですか、より取り見取りですし」
ヤンデレ変態幼馴染に人見知り不良にセクハラ教師にワンコ後輩にDV親友…
「…絶対嫌」
どれをとっても辛いのは目に見えてるではないか。
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