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お前はシンデレラか気持ち悪い。 球技大会7
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そんなこんなでバスケの試合は主に丹下と彰嗣の戦いになっていたのだが。
まぁ、何と言うか負けました。
前半で丹下はスタミナ切れしたのだ、どういうこと?
後半はバスケ部が頑張ったのだが、バスケ部+彰嗣には敵わなかったのだ。
「魔法は解けるから魔法なんですよ」
「ふざける気力はあるのか」
ぐでん、と体育館の床に倒れ込んでいる丹下に俺は呆れてしまう。
濡れタオルを持って来てくれた優しい森光はその顔にタオルを乗っけて、
「ほら、死んでるみたいだろ?」
「いやそれ、生きてるみたいだろ?だから」
しかもやったのバスケだし、野球じゃないし。
お前たっちゃんじゃないし丹下かっちゃんじゃないし俺も南ちゃんじゃないし。
「俺、事故ってないですけど」
「ある意味お前のバスケスキルは事故だったぞ、オタクとして」
「…昔取った杵柄ですよ」
タオルを退かして丁寧に畳みながら、丹下が思いがけないカミングアウト。
「え、お前バスケしてたの?」
「中学の時にちょっとだけですよ」
「何でやめたんだよ、勿体ない」
彰嗣と張り合えるほどうまいならいいとこまで行ってただろうに。
きっとスカウトだって来てただろう。
「だってバスケしてるとイベント行けないじゃないですか」
「お前馬鹿じゃないの」
「本当に二次元に帰れよバーカ」
真顔で言うことか。
心底残念な奴だ。
お前の宝の持ち腐れスキル全部俺によこせボケ。
「…ったく、バスケしてる丹下めちゃくちゃカッコ良かったのに…勿体ない」
「…少しは杉田氏に見直してもらえましたかね?」
「見直したのに辞めた理由のせいでマイナスだよ」
「えぇッ!?そんなぁ…」
しょぼーんと言葉に出す無表情の丹下、懲りない奴。
まぁらしくていいんだけど。
高校になって知り合ったわけで、中学時代の丹下を俺は知らない。
それは森光もそうなんだけど、森光は同じ中学だった奴がいるからたまに中学時代の武勇伝とか聞くし。
反対に丹下は遠くの中学出身らしくて中学時代の丹下を知る奴はいない。
よくよく考えればミステリアスな存在である。
本当にバスケをやめた理由がオタク活動のためなのか…疑問は残る。
ま、考えたところで本人が白状しない限り真相はわからないのだが。
「そういやうちのクラスあとはどこが残ってるんだ?」
「女子のドッヂボールと男女の卓球」
「…ドッヂ残ってたのか」
「ほら、うちのクラスの女子ってお祭り女ですから」
勝ちにこだわってるんですよ、と濡れタオルを首に巻く丹下。
観に行きます?と尋ねるその顔がまだ万全ではない。
「教室戻ろう、丹下の顔土気色」
「え、俺瀕死ですか?」
「結構酷いね、そのまま目を瞑って動かなかったら通報される」
「えぇー…教室戻ります」
イケメンの応援がないなんて多分うちの女子猛烈に怒ると思うけど。
そのイケメンが死にそうなので致し方ない、許せお前らは応援なくても十分強い。
「丹下、辛かったら肩貸すぞ」
「いや、そこまでではないですから…有り難う御座います」
「そういや筋肉馬鹿は試合終わってから真智のとこ来なかったな」
「あぁ、すぐに卓球の準決勝ったみたいですよ」
「…タフすぎて気持ち悪いなあいつ」
そういえば何かを忘れている。
メールで何か着てたような…あ。
「朔太郎忘れてた」
「鼻チュー後輩?」
「その呼び方やめろ、あー…結局あいつサッカーだったのか?」
森光の変な呼び方を叱りつつスマホを見ると朔太郎からメールが着てた。
観に来てくれなかったでしょ、という恨み節とお陰で負けたという責任転嫁全開の内容である。
「あーぁ、おこじゃん」
「怒り心頭ですな」
「…いや、俺行くとか言ってないし自分のクラス優先でしょ」
とりあえず謝罪と自分のクラスのが大事じゃボケって感じのメールを送っといた。
これで何か言ってきたら今度会った時鼻殴る。
「さ、飲み物でも買って教室行くべ」
教室でぐでーんとしていた俺らにドッヂボール女子たちは見事優勝したと自慢してきて、応援来なかったとかマジ死ねと俺にだけ罵って来た。
イケメンは許されるんだな、つかお前ら応援来てほしいのこの二人だろ罵れないからって俺に八つ当たりするな理不尽だ。
そうそう、閉会式の時に表彰があるんだけど。
うちのクラスは女子のドッヂが優勝。
男子バスケと女子卓球が準優勝で男子卓球と女子バレーが入賞してた。
うん、女子強いなうちのクラス。
そして何と、サッカーの優勝は金獅子のクラスだった。
復帰したのかな?金獅子、表彰には出てなかった。
朔太郎もサッカー入賞してて、ひなちゃんもバレーボールで優勝してた。
彰嗣は、バスケと卓球優勝でバレーは準優勝だった。
「全種目入賞とか、あいつ本当に何なの恐い」
「あの感じ、もう二三試合できそうだぞ」
「村地氏ならいつかス〇パーサ〇ヤ人にもなれそうですね」
「「…シャレにならん」」
こうして高2のぐだぐだ球技大会は幕を閉じました。
本当に俺、いいとこなかったです。
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