アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
あざといってこう言う奴のこと言うんだろ?(後輩と)※やらかした~の続き。
-
「先輩、待ってくださいよぉ!!」
ずかずかと体育館を逃げ出て来た俺を呼び留めたのは朔太郎だった。
まさか追いかけてくるとは思わなかったので驚いて素直に待ってしまった俺優しい。
いい感じに中途半端な放課後の時間、人はいない。
肩で息をする朔太郎をじっと見る。
何だ何で追って来た、お前まりあちゃんの付き添いじゃん。
「もう、先輩足早い…あー疲れた」
「何故追って来たし」
「先輩が帰っちゃうからでしょ」
「いやいやそれお前に関係ないだろ」
原因の一端だけど。
でも勝手に俺が帰っただけで朔太郎は関係ない。
それでも朔太郎はちょっと不満げで。
「先輩と少しでも一緒に居たいって俺の気持ちを汲んでくれてもよくないですか」
「何で俺がお前の気持ちを汲まなきゃいけないんだ、お前こそ大衆の前で辱められた俺の気持ちを汲め」
「やだ先輩その表現卑猥っす」
「お前の脳みそが卑猥だよ思春期猿」
お前そんなに駄目な子だったか?
もうちょいまともで可愛げあった気がする。
高校生になって変わったのだろうか…
何か親戚のおばさんみたいな心境だ、やだ。
「先輩、何考えてます?」
「ん?お前が可愛げなくなってやだやだって考えてた」
「可愛げなくなりました?そうかな?先輩にはうんと甘えん坊してんのに」
「それはそれですごく嬉しくないからしなくていいかな」
「えぇー?先輩が後輩はうんと甘えろって言ったんじゃないですか」
だから俺先輩には遠慮せず甘えまくってるのに、と笑う朔太郎にそれは中学生の時の先輩ぶってた俺の黒歴史だと思いつつ言えるわけもなく…言えないわ。
あぁ、そうだっけっかとしらばっくれる俺、誤魔化せてない感半端ない。
朔太郎はそうですよーと嬉しそうに笑うと自然と俺の横にやってくる。
あ、一緒に帰る感じですか。
「先輩が俺のこと構ってくれるから俺嬉しくって、先輩がいてくれないと俺生きていけないかも」
「大袈裟だな、そんなわけないだろ」
「ありますよ!だって中学の時から朝練の時は飯食ったか?ってオニギリくれたり、昼も足りてるか?とか気にかけてくれたり、放課後の部活の後だって部活で作ったパンとかくれたりして…」
「俺ってばどんだけお前の食生活心配してんだ」
中学時代、今よりもっと小柄で女の子みたいだった朔太郎はそれでも一応運動部に所属していた。
スタミナがなくてよくバテてた彼を俺が入ってた調理部の後輩、まりあちゃんとみっちゃんがすごく心配していて、朔太郎と同じ部活だったひなちゃんも部活先輩の彰嗣に相談して、俺と彰嗣で体力づくりとか食事の心配とかしてたわけで。
お陰でなのか体力もついてちょっとだけムキってなった朔太郎は運動できる可愛い系男子として女子にモテるようになったのだ。
心配して損したと思わないでもない。
それから朔太郎に俺は懐かれたし彰嗣は反対にやりあってるし、何となく間に俺が挟まれてる気がして嫌なんだけど。
「それだけじゃないっすよ、制服のボタン取れたらつけてくれたり、ワイシャツ汚したらしみ抜きしてくれたり…」
「オカンじゃねぇか俺」
「むしろ奥さんですって」
「阿呆かお前死んでもごめんだ」
「えぇー?俺本気ですよ?先輩が奥さんになってくれたら絶対幸せにするし俺も幸せですもん」
へらへらっと笑う朔太郎にうんざりした顔を向けながら、俺は足を進める。
横に自然とついてくる朔太郎、あれ?前よりちょこちょこ感がなくなってね?
横を向けば同じ目線に目が合って、ニッコリ笑う。
「…お前、背伸びたの?」
「え?あぁ、そうかもしれないです。先輩と同じくらいっぽいっすね」
えぇぇ…だって出会いでは俺より10㎝以上小さくて、本当に女の子みたいだった。
俺が中学卒業するころだって背は伸びたけど俺も伸びてたからまだ小さかったのに。
一年ちょっとで同じくらいになっちゃうとか。
心なしか骨格も男らしくなってきてる気がするし。
「ますます可愛くない」
「ちょっとそんなこと言わないで下さいよ、大きくなっても可愛い後輩でしょ?」
首を傾げる仕草はまだ似合うけれど、でも。
もっと身長伸びて俺を越してしまったりしたら。
頭乱暴に撫でまわすとか、できなくなるんじゃないか?
「ちょ、せ…先輩ッ!?」
わわわ、と慌てふためく朔太郎の頭をぐしゃぐしゃに撫でまわす。
今はまだ伸ばせば届くしちょっと下に押せば旋毛だって見える。
大きくなったら無理だろうな、可愛がれない、甘やかせない。
そんなに頻繁にしてないけど、もともと。
「お前、あんまでかくなるなよ」
俺の先輩としての威厳とか、プライドとか。
てゆうかお前を可愛がる理由なくなるだろ。
ぐちゃぐちゃになった頭を離してやると、暫くその頭のままで呆然と俺を見る。
その顔が本当に驚きを表してて、俺の方が戸惑う。
それからゆっくり自分の髪の毛を撫でつけ出すと、ポツリと俺の名前を呼ぶ。
ん?と返事すれば朔太郎はちょっとはにかんだ顔で笑った。
「先輩、もし俺のがでっかくなったら、今度は俺が先輩をうんと甘やかしてあげるよ?」
だって先輩、人を甘やかしてばっかで自分甘やかしてないでしょ
そう言って、俺の頭を遠慮がちに撫でる。
それから、だからおっきくなっても俺の傍に居てねって。
俺の左手をとって、薬指にちゅって唇を落とした。
そのまま手を引かれてゆっくり歩き出したけど。
朔太郎に言われた言葉に驚いてぐらりと心が揺らいで。
足が縺れて二人して転んだという…
朔太郎の殺し文句がイケナイ、殺されてないけど!!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 41