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やっと見つけた鍵を握り締めてみたけれど。
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紗々先輩はあっさり食堂で見つかった。
金獅子の見つからなさっぷりとの差が激し過ぎて拍子抜けした。
男女入り乱れてキャッキャウフフしてる集団に格差を見た気がして近づくのを躊躇ったが、いち早く紗々先輩が俺に気づいてくれた。
可愛らしく小走りで寄ってくる先輩、何人かか行く先にいる俺を睨んでいる。
女子に睨まれても男子に睨まれても何か複雑なんだけど。
そんな俺と周りを知ってか知らずか、紗々先輩は愛らしい笑顔だ。
「どーしたの?杉田君が食堂来るなんて珍しいね」
「えぇ、先輩に用があって」
「僕に?なぁに?」
首を傾げる先輩に事情を説明すると、ふぅんと薄い反応か返ってきた。
どうでもよい、その気持ちわかるけど。
だって俺と金獅子の問題であって紗々先輩は1ミリも関係ないんだもん。
そりゃあそんな反応するよ。
わかる、わかるけど俺は今困っているから藁にも縋りたいのだ。
たから紗々先輩に縋ってるんだ。
「アイツが行きそうなところとか心当たりないですか?」
「さぁ…どうかなぁ?俺もアイツの交友関係全部知ってるわけじゃないし」
「…ですよね、」
紗々先輩は何も悪くないんだけど溜息が漏れる。
どうしたらいいんだよもう、会えない気がしてきた。
地味に凹んできた。
そんな俺をしばらく眺めてた紗々先輩だったけど、俺以上に深い溜息を吐いて肩を竦めた。
「まったく…どうしようもないね、二人共」
何で周りが世話焼いて焼かなきゃならないんだか、とぼやく先輩にんん?と首を傾げる。
どうしようもないって?二人共って?
俺と金獅子?
「そんなに会いたいなら喫茶店行けば?」
おじさんなら知ってるかもよ?と言って、紗々先輩は友達の輪に戻っていった。
しばらくそれを眺めていたけど、俺は踵を返すと教室へ走った。
昼休みはあと10分。
荷物を持って足早に廊下を歩く。
階段は駆け降りた。
途中で声をかけられた気がしたけど振り向くのももどかしくて。
昇降口、シューズを引っ張り出して上履きしまって。
繁華街の少し奥まったところのあの店。
今すぐ行かなきゃって、足が逸る。
よくよく考えたらいるかなんてわからないのに。
まだ、学校かもしれないのに。
紗々先輩の言葉だって断定してないのに。
俺はとにかく何でも可能性に縋りたいんだ。
「…会いたいんだよ、とにかく」
会って、聞きたい。
お前は俺を元々知ってたの?
知ってたなら何故何も言わないの?
お前にとって俺ってどういう存在なの?
お前は俺に何を求めてるの?
まだ聞きたいことはあるけど、一番は…
「何で逃げるんだよ」
散々俺がビビるのもお構いなしに手を繋いで帰ってたくせに。
ずっと、一緒だって言ったのそっちのくせに。
好きだって、キスしたくせに。
「…直接聞かないと納得いかねぇ」
絶対捕まえる。
ぐっと手を握り締めて、俺は喫茶店へと足を急がせた。
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