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episode.5-4
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「あーあ…マカロンこんなに残ってる。そろそろ……」
駿平が帰った後、残っているマカロンへ視線を移してポツリと呟き、ふと、陽が沈む前の景色が目に飛び込めば時計で時間を確認した。特にトラブルもなければそろそろ大が帰ってくる頃だ。
ガチャ……
ほらほら帰ってきた──予想が当たりニヤリと笑った。
ドアが開く音と共に振り向き姿を確認すると、笑み浮かべ迎えた。
「大、おかえり」
「ただいま実都。なにか変わったことはあったか?」
「……駿平が俺の様子見に来てくれた。で、このマカロン貰ったよ」
マカロンをひとつ手に取ると大の側まで歩み寄り唇へ軽く押し当てて緩く首をかしげ視線で『食べる?』と訴えた。
「ふ、これは美味しそうだ…」
小さく笑うと、大は意味深に笑みを深め口を開けるとマカロンをもつ指までも食み、ジュウ…チウ、とその指を吸い上げてきた。
「っ!!…ちょ、っ…と、な、ぁ……指、やめ、ろ!」
「………はぁ、五月蝿い。せっかく美味しいものを食してたと言うのに」
「文句言うなら…まともに食べてよ」
「全く、また減らず口を叩く。実都は食べたのか?」
「ん、さっき食べたよ。でも…」
「でも?」
「…なんでもない」
「そうか。じゃあ久しぶりに充電させろ…癒せ、疲れた」
大は命令口調でありながら、甘えるようにこちらを見つめてきた。その目はまるで小動物が見つめている眼差しと似ていて正直「かわいい」と思ってしまった。いつも傲慢で隙のない相手だから故に、このような甘える姿を見るのは新鮮で、同時に面白くもありクスクスと喉の奥で小さく笑った。
「変なの、調子狂うな…ほら、…んー、こう?」
癒すと言ってもどうしたらいいのか悩み髪を暇手でガシガシと掻けば先ず自分が甘えたい時にして欲しいことを思い浮かべ、大の手を取り引き寄せ、背中へ両手回すとギュウっと抱きしめ背中を上から下へと撫でた。
「ん、ありがとう。もっと強請ってもいいか?」
「…なんだよ」
背を撫でる手を髪へと滑らせると梳くように撫でながら、もっと強請っていいかと聞く大へ耳元で問いかけた。
「仮眠したい、膝を貸せ」
「あー、はいはい。じゃあ…ソファにでも横になる?」
なるほど…と頷きながら1つ提案し、抱き締めていた身体を離すと早々にソファの左端へ腰掛けて決して柔らかくはない、かといって固くもないその膝をポンポンと軽く叩き頭を乗せて横になるよう促した。大は特に何も言わず促されるままに膝へ頭を乗せるとソファへ横になって目を閉じた。
「少し寝る…30分くらいしたら起こせ」
もう眠そうで小さな声で短く要望を伝えた大は疲れ切っていたのかすぐ眠りへとついた。
なんだ、寝顔かわいい…こんな顔するんだな──そんなことを思いながら寝顔をしばらく眺めた。
眠ったその顔を見れば、普段の大とは違い穏やかで可愛い寝顔を目にし、小さく笑みを浮かべ、寝息を立てる様子を眺めながらその呼吸に合わせ髪を撫でた。
そうした寝顔を見ながら、これまでのことを思い出しては色々と考えが巡った。
職場で発情期が起こったあの日、助けてくれた。そして、噂で聞くような酷い人でもないことも分かった。元からの性格はどうにもならないけれど、とても優しくしてくれた。
「そう言えば…セックスも…気持ちよかった」
抑えるためであるセックスも思い出すとほんのりと顔を紅くしながらポツリと呟いた。
きっとこれからも発情期が来れば大や駿平に迷惑をかける、世話になるだろうと考査し、その先の未来もぼんやりと頭の中で浮かんできたが、この気持ちはまだ伏せていようと心に誓った。
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