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episode.8-1
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ハワイ行きの便を待つ間も相変わらず小難しい顔をしている。
先日、どちらかを選べと言われてから来る日も来る日も悩み続けた。そして今日も未だにその結論が出ずにいる。
楽しい旅行が控えているため、こうした悩みは持ち込みたくはない。だから、キッパリと思考を止めた。この旅行──楽しまないと!と、そう決めてガッツポーズを小さくかかげた。
実都は、5日の休みを貰いハワイ旅行を計画した。特になんの予定もスケジュールもないゆるい一人旅だ。この旅行のことは駿平にしか口外していない。
荷物をあずけ、フライト時間までロビーの待合で過ごしていた。同じハワイ行きの便に乗る人だろうか、家族連れや恋人同士、友達同士、おひとり様まで色んな旅行形態があるようだ。そうした中で、手荷物の写真を撮影し、SNSへアップしていた時、隣へスーツを着た一人の男性が座った。
「へぇ、1人でハワイ行くんだな。発情期が来たら大変だ……」
そう声掛けてきた男性へ視線向けると、黒いサングラスを掛けているもののどこか見たことあるような感じがした。
「……?やだな、俺はβ。少し息抜きに一人旅だよ。お兄さんは?」
「俺か?知り合いが今日からハワイ旅行行くと小耳に挟んだもんで。たった今、その知り合いは1つ嘘をついたが……」
大は意味深に声のトーンを落とし気持ちを溜め込みスローペースで話した後、つけているサングラスを外した。そして、「だれがβだって?実都」と、眉間に皺を寄せ双眼を細めて見つめた。
「えっ、なんで大がここに……!?し、仕事があるんじゃ?」
「流石に驚いたって顔だな。発情期が来るかもしれないΩが一人旅だ?……させない」
「だっ、大丈夫だって。薬だってちゃんと持って……」
「そういうことじゃない!!頼むから自分を大切にしろ。好きな人ががほかの奴にどうこうされるなんて御免だ」
大は、実都言葉を遮るように会話を重ね心配と嫉妬の念を露わにした。
「心配か?嫉妬?別に大は俺と番でもない恋人でもないのになんで……」
「この前も言っただろう?実都が好きだ……と。どちらか選べとも」
そう言ったあとに「これは俺の勝手だ、ハワイ旅行に同行する」と続けた。
こうして、心配性αの同行つきでハワイ旅行が始まった。思えば、完全にプライベートで旅行など初めてな上に、大と飛行機に乗るのも、ハワイで過ごすのも初めてのことだ。3泊4日のハワイ旅行、ノープラン。そしてこの急展開にまだ整理が追いつかない。
──どうなるんだ!?ハワイ旅行ー!!
そう心で叫ばずには居られなかった。
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