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episode.8-2
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ハワイに着いて……予想通りの始まりだった。
ホテルにチェックイン、重い荷物をホテルマンに預け部屋に案内してもらったまではいい、一人旅の予定通りだ。しかし……な・ぜ・か!!大と同じ部屋になってしまった。
「……えっ、と」
「何故俺が同じ部屋なのかと言いたそうだな」
「分かってるなら言えよ」
「それは、秘密だ……」
「まぁ別にいいけど。な、何かあった時は頼りに……するからな!」
実都は不貞腐れながら見つめ言い、手荷物を適当に置くと窓際へ向かい、窓を開け、外に見える壮大な海の景色を眺めた。大はその後ろ姿を熱視線注ぐように見つめ、その背後から実都を抱きしめた。
「ちょっ、なにこんな明るい時間からっ……」
「いいや、可愛いこと吐き捨ててくれるからつい」
「は!?だとしても、ほら……や、めっ」
「んーー、ふ、やだ。こんな風にゆっくり触れる時間、最近なかったから」
大は珍しく我儘を言った。そして、実都の首の項から首筋にかけて舌を這わせ、耳朶を甘噛みした。
「まっ、……首も、耳もやっだ……っ」
「ん、なんで?」
「だっ、て……変っ……ひぁっ!」
嫌だと話すのは何故か問い、弱い耳を更に攻め立てようと、耳の中へ舌を入れ刺激し、舐めながら水音を聞かせ吸い付いた。
「なに?ちゃんと言ってくれないと分からない」
「へっ、……っんに、なっあ……っ」
「変に?ここ最近いつも変だろう?気持ちが変、なんだろう?」
大は、耳への刺激を止めると側から離れ、寝台へ腰を下ろした。そして、振り向き見つめてきた実都の視線に自身の視線を合わせ見つめ返した。
「なっ!知ったふうに言うな……変じゃ、ない」
──ウソだ、ドキドキした。実都はそう心でつぶやいた。
胸が熱く……速く。これまでの事もフラッシュバックしていろんな感情の色が混ざり合うような、そんな変な感じが胸を擽る。
「まぁいい。きっとこの旅行で分かるだろう」
好きだと気持ちをストレートに伝えてきた大は余裕綽々とした態度でいた。実都はそんな姿をただただ見ていることしか出来ず自分が抱えている気持ちをぼうと大を見つめながら考えていた。
チェックインして1時間ほど過ぎた。
「……い、おーい実都!」
窓際に突っ立っている実都へ下から顔を覗き込むようにし片手を振って声をかけた。
「あっ、ごめん、なに?」
「外でもぼうっとしてると襲われるぞ……って言うのは冗談だ」
「こ、怖いこと言うなよ…」
冗談だったとはいえ、誰かもからない人に襲われるなんて怖い、御免だ……そう思うと恐怖で震えた。
「せっかくだから観光にでも行くか、調子よさそうだからな」
大はニヤリと笑みを浮かべ事前に調べてきた観光リストを出すと顔の横にちらつかせた。
「え!それ調べたのか?」
「どうせ実都の事だからノープランだろうと思ってな」
「うっ……」
見透かされてる!?そう思い顔を顰めた。
「今日は今日のプラン組んだから、ほら行くぞ!」
「えっ、ちょっ……に、荷物!財布とか……あっ、待っ」
「ブツブツ五月蝿いな、荷物ならとっくに俺が持った」
行く、行かないと言う実都の意思は関係なく半ば強引に手を引かれズンズンと歩き出した。その絵図、主人が犬のリードを引いて歩くと言ったようなものだった。キャンキャン吠え待ったをかけると眉間に皺を寄せ顔をグイッと近づけてきた。
「あ、そう。あり、がとう……」
「わかったら行くぞ」
実都は軽く上目で見つめコクリとひとつ頷いた。
ハワイのひとり旅行、のんびりと身体と心を休ませるはずが、大と旅行する羽目になり、更に組んできたというプランにより、のんびりどころか振り回される旅行が幕を開けた。
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