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episode.8-3
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『行くぞ』とホテルから引っ張りだされ、ショッピングやハワイの有名観光地、世界を飛びまわりハワイにも仕事で滞在することがある大の行きつけレストランなど、振り回されるなんて思った事が申し訳ないくらい、ハワイを感じる楽しい時間を過ごした。
そして、最後に訪れたのは、夕日が綺麗に見えると言う穴場スポット。大曰く、旅行雑誌には載ってない大のオススメスポットだと言う。
「ここ、穴場だ。他人に教えたことは無い」
「……どうしてここに、連れてきてくれたの?」
「何かあって元気ないな、癒されたいという時に来て夕日を眺めた」
「う、うん」
「実都は最近調子が狂ってるだろう?それは……どちらか選べ、なんて追い詰めてしまったからか?」
「な、何急に。……まぁ100%否定出来ないよ。出ない答えを出さなきゃならないんだ、病むだろ」
「……ここに連れてきたからってその悩みが飛ぶ訳じゃないが、俺が出来る最善がコレだ」
楽しかった一日が終わろうとしてる中、いつもの調子では無い様子を察した大が慰めという力与えてくれた。そして、夕日が互いの身体をオレンジ色に照らし刻々と水平線へ沈んでいくのをこの眼に焼き付けた。この感動と、今の気持ちを大と共有出来たらどんなに良いか、と考えた。
「キレイだ……キレイで、うっ……う」
「ははっ、泣いているのか?それは……どんな涙だ?」
大は実都の瞳いっぱいに溜まってポロリと伝う雫を人差し指で優しく拭い、真っ直ぐと見つめた。
「まだ悩んでる。でも、今日は本当に救われた」
「ああ」
「俺は……あの日助けて貰っても大の事よく知らなかった」
「ああ……」
「だから、もっと知りたいと思ったんだ。知っていって好意を持った」
「そうか」
「なのに、答えは出てるのに悩んでた」
「何故だ?」
「本当にこれでいいのか……って不安だった!」
実都は涙を堪え、震える声でありながらも少しずつ言葉を紡いでいった。それを大は、相づちを打ちながら静かに聞いた。話し終えたあと、大は思い切り実都を抱きしめた。そして、『泣きたい時は泣け。その涙、今なら拭ってやれるぞ』と、言い実都の気持ちも涙も全て受け入れると示した。
「ゔっ……うう、うっ、ひ、ろ……ぉっ!!」
実都は大に抱きしめられその腕の中で堪えていた涙を思い切り流し声を上げて泣いた。夕陽と大の心の暖かさが身に染みて、暫く涙は止まらなかった。
わんわんと泣きじゃくり、ピタッと泣き止むと実都は大を見上げ見つめた。
「大……」
「ん、なんだ?」
「俺……」
「なんだ、早く言え」
「……いや、やっぱりまた今度にするよ」
「はぁ、全く。よし、帰るぞ。その腫れた目のままじゃな」
何かを伝えようとしていた実都だが、今はまだ内に秘めておこうと口を閉ざした。そんな気持ちも大は察してくれたのかくしゃりと優しく髪を撫で、目元を軽く指腹で撫で、苦笑いを浮かべた。
「えっ!?そんなに腫れてる!?」
「ああ。今日はもうホテルでゆっくりしよう」
実都の腰を抱き密接して歩き始めた時、微かに甘い匂いが鼻を掠めた。
……この匂いは、まさか……っ
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