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【kyus】サンストーンの魔法
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真っ白でまっさらな、ふわふわの白い羽が降る季節。
恋人達は皆、来たる12月24日に向けてプロポーズやらなんやらの準備を進めている。
そのプロポーズに絶対に必要になるもの____。
生涯、私は貴方のそばに居ますという、形のある証明が出来るもの。
そう。指輪。
俺はその指輪が売られている、ジュエリングショップで働いている。
洒落たイルミネーション、煌びやかなショーウィンドウ。
そして、まるで三ツ星レストランのような黒と白で統一された制服。
「 ほんと、似合わねぇな…… 」
襟足の赤も、茶色い髪も、なにもかもが不釣り合いな気がしてしまってしょうがない。
「 おい、清川。今日は佐々木様がご予約で来られるから相談に乗ってやってくれ 」
そう言って、スタッフルームに入ってきた上司の二星(にほし)さん。
ホラーゲームが好きなのはスタッフの間でも有名な話だ。
「 二星さん。わかりました 」
「 おう。あ、清川。ちゃんと前回までの佐々木様との話の流れ覚えてるか?新人のお前にテストだ 」
「 えっ…ええと、佐々木様は確か2度目のご来店ですよね、前回どんな指輪がいいか軽く教えて頂いたところまで話が進んでいました。
そのあと用事があると言ってすぐに帰ってしまったのですが…… 」
おー、よく言えたな、なんて二星さんは俺にひらひらと手を振ってスタッフルームを出ていこうとする。
「 あ、佐々木様いらっしゃったぞ。出迎えてやれ 」
「 は、はい! 」
佐々木様。佐々木様は、眼鏡で黒髪で、声が良くて、でも俺みたいに変に飾っていないのに、格好よくて。
俺の、大好きな人。
ずっと前から片想いしてて、
俺が働いてるショップに佐々木様が偶然来た時はなんの奇跡だって思った。
だけど。このショップに来るってことは、自分用のアクセサリーの購入か、結婚指輪や女性へのプレゼントしかなくて。
1度は神に感謝したけど、その後にすぐ恨んだね。
「 佐々木様、いらっしゃいませ。お足元の悪い中、わざわざご来店有難う御座います 」
マニュアル通りなはずなのに、どこか群を抜いて丁寧に、心を込めて言ってしまう。
この店に用があって来ただけなのに。
俺に、会いに来た訳じゃないのに。
「 あ、清川さん。こんばんは、よろしくお願いします。早速になっちゃうんだけど、俺の希望通りの指輪、見つかった? 」
「 あ…はい。石はこちらのサンストーンという物が良いかと思われます 」
「 お、いいじゃないすか。俺の希望通りの綺麗な赤色です 」
指輪にはめ込まれたサンストーンを、店の暖色のライトで照らす佐々木様の顔は、それはそれは嬉しそうで。
ーー
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