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あんな言葉だけで、そいつは急に楽しそうに手伝い始めてしまった。理解が出来ない。
「お前は、俺を誤解してないか」
「そうだな、お前の方が変態だったな」
「えっ」
噛み合わない会話は置いておきつつ、黙々と作業を再開。やはり二人でやる方が早い。
「だめだ、お前のキャラが見えて来ない」
「俺は、かいせのキャラが見えて来たよ」
並べる係と、まとめる係になることにして俺はまとめる係をする。 きれいに束ねられた書類たちに、ナンバーを付けていき、次に棚に戻すか廃棄するかを検討していく。
見たくもないゴミみたいなものでも誰かには価値があるからと纏められていく。
憂鬱だった。
正解なんかないこともわかっている。信じない人のことも。どうとでも言えるからこそ、そのワケのわからない感覚に縛られる身が一番たまったもんじゃない。
「脚下照顧ね……」
ばさっと書類から一枚が舞った。
そこに映っていた客の一人の資料に目を奪われる。
「や、だ……やだあああああああ!!」
騒ぎだした俺を押さえつけながら、かいせがおい、とか、落ち着けと言ってくる。
そういわれてもすぐにはそうと止まれるものではない気がした。深い深い闇が目の前にあって、ブラックホールに繋がっているような、あの独特な感覚が、痛みへと引きずり込む。
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