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(なんの話だ?)
寝てしまったら、記憶が読みづらいじゃないか……
と思うが起きる気配はない。諦めて、そいつを運ぶ。見た目よりもずっと軽かった。
「ん……」
唸りながらなにやら暴れている手足を握って落ち着かせて、ベッドにのせ、布団をかぶせた。
「ほら。ここで寝ろ」
そいつは、答えない。
離れて欲しくないのか、腕だけを伸ばしてくるので、きゅっと握ってやる。
『なかないで……』
寝言が聞こえる。
泣いてるのはお前もだろう、と思いながらも、しばらくその横顔を見つめ、やがてテレビを振り返った。
砂嵐が映っていた。
放送、終わったのか。
俺は海を見るのが好きだった。
だった、というのは、つまり、そういうこと。
海はときに見たくないものまで見えてしまうみたいで、幼い頃からあまり近づかないようになっていた。
(なんだか、やけに昔を思い出してしまうな)
海の映像なんか見たから?
それとも。
「なぁ――色」
答えはない。
「していい?」
寝顔に無理矢理口付ける。少し眉を寄せながらも、応えてくれた。満足して、彼の横に滑り込み、布団に横たわる。
まあいいや。
「おやすみ」
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