アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
噴火
-
藍鶴が、紙とペンを差し出して来る。
黙って雑な絵を描くと、そいつはそれをじっと見つめて、顎に手を当てた。
関係無いが、こういうしぐさがたまに艶っぽくて、つい、ときめいてしまう。
「そうだな。海がある範囲で、さらにこの形状の石がある場所……」
「恐らくは5940年代辺りから6250年代の山での噴火事件。遠くに時代にあった会社の建物が見えたからな」
俺が言うと、そいつは黙って考える顔をして、少しして、肩に手をのせてきた。
「ん?」
「少し補給させろ」
囁かれて口付けられる。え。
なに、なにこの流れ。
「ちょ、と、色ちゃん」
獣のような、目。
しばらく俺を堪能してから、また無表情に戻る。俺は照れて顔が熱いというのに。
「……どうも。元気になった」
「ソウデスカ」
「そうだな、海が見える範囲というのは、確かか」
「重点的にはな。だが、油断するわけにも行かない。岩のそばに誰かが居た感じがするんだ」
「誰か、ね……他に、わかることは」
橋引が言う。
「例の、あいつらよ」
色が、青ざめる。
俺は、ただ黙っていた。色が、拳をぎゅっと握る
「わかった。できる限り俺もやる」
拳を握って怖い顔をしている、藍鶴色に近づき、そっと掌を握る。
「だから、そんな困った顔すんなって」
「……困った?」
不思議そうだ。
わかっていないらしい。
「それより早く、会社に戻ろう」
きゅるる、と彼の腹の虫が鳴る。恥ずかしくて抱きついてきた色を、なにかを願うように、優しく抱き締める。
大丈夫。
俺らは、生きてきた。
これからも。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 164