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ねがお
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呆れているかいせを見ながら、確かにそうだなと思う。
「俺には撮らせてくれないのか?」
「口調が戻った」
チッ、と惜しむようにされる。しかし返答はない。嫌だっていうのだろうか。目をそらされた。
「そうやって、お前ばかり……」
じとっと睨んでみる。
効果は、いまひとつ。
かいせは、はははと笑った。
無視して台所に向かう。
「なになに、すねた?」
「なにか食べる」
「おい、怒るなよ」
コーンフレークをざかざかと皿に盛り付け、牛乳に浸しながら、じろりとにらむ。
そいつは、曖昧な笑顔を浮かべていた。
俺は機嫌が悪くなると、とりあえず外に出るか、違うことをしてるかだ。わざわざそれを遮ってきて、機嫌をとろうとされる。
不思議だ。
そんなに必死になる必要がわからない。
今が不機嫌でも、それが数時間後は直るだろう、とかそんな発想が無いかのように。
現在、を繋ぎ止めたがるみたいなそれを感じるたびに、ああ、この人の『寂しさ』の根幹のひとつなんだと思った。
まるで余裕がない。
なんだか面白い。
くす、と笑うと「あ、笑った」と言われる。
何を笑ったかは、わからないだろう。
「ほれ」
あーん、と、コーンフレークをのせたスプーンを彼のあんぐりした口に突っ込む。
「……」
さく、さく、とそれを飲み下すのを見て、俺も自分で食べる。
「もっとちょーだい」
なんとなく、箱をそのまま渡した。
「へいへい」
彼はだまって箱から自分のぶんを、皿にのせている。
はあ、なんだか疲れる。いったい何に疲れるんだろうか。わからない。
疲れることばかりな気さえする。
不満を解消できてない。
もやもやしたまま、コーンフレークを口に投げ込むように食べる。
つめたくて、甘い。
つめたくて、甘い。
甘くて、甘い。
もぐもぐと口を動かしているうちに、また眠気がやってきた。
なんとなく、安心した。
『現実は、此処だ』
――とでも、もしかしたら、思ったのだろうか。
どこに、真実があるかは、いつだって、わからないのに。
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